ぱっとみ映画感想ブログ

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ケープ・フィアー(1991)

 

 

 

 

 

映画『ケープ・フィアー(1991)』のデータ

題名 ケープ・フィアー(Cape Fear) 
監督 マーティン・スコセッシ
出演 ロバート・デ・ニーロ、ニック・ノルティ、ジェシカ・ラング、ジュリエット・ルイス
上映時間 127分
制作年 1991年
制作国 アメリカ

 

 

映画『ケープ・フィアー(1991)』のあらすじ

14年前、16歳の女の子をレイプして服役していた男、マックス・ケイディ。刑務所で服役する間、マックスは自分の弁護士サム・ボーデンが、裁判の時に依頼人である自分の味方をしなかった事実を知り、復讐を誓う。

刑務所の中で法律を学び、出所すると法に触れない方法でサムとその家族に付きまとう。最初はいやがらせ程度から始まるが、それは徐々にエスカレートしていく。

娘や妻の命さえ危ういと感じたサムは家族を守ろうと必死になるが、マックスの超人的な肉体と頭脳に太刀打ちできず、じりじりと追い詰められていく。

 

 

映画『ケープ・フィアー(1991)』の予告編

www.youtube.com

 

 

映画『ケープ・フィアー(1991)』の感想

ゾンビ映画だった。

サイコ → スリラー → ホラー → ゾンビ となって、最後はコメディで終わるという、とんでも展開。わたしゃ目を疑いましたよ、最後の川のとこ。爆笑したわ。

 

あらすじをだいぶ端折ってしまったが、この映画そもそもはモノクロ映画 『恐怖の岬(1962)』のリメイク作品。話はほとんど同じ。

(ちなみにオリジナルでマックス・ケイディを演じたロバート・ミッチャムがサムの友人の警部役で、オリジナルでサムを演じたグレゴリー・ペックが出所した後のマックスの弁護士を演じている)

 

両方見ると、オリジナルの方が地に足がついた(?)スリラーでリアリティがあって、スコセッシ版の方はオリジナル版のあらゆる要素をセンセーショナルに煽り立てて娯楽性を高めていることが分かる。

一言で言うとリメイクの方が下品。

 

弁護士サムは、「妻子を愛する優等生弁護士」から「妻子がいるのに何度も浮気を繰り返す浮気男」へ変化し、

犯人マックスは、「ただの逆恨みレイプ魔」から「元々字が読めなかったのに刑務所で独学して聖書からニーチェ、マルクスまで読みこなすインテリになり、体中に意味ありげなインテリっぽい文言の入れ墨を入れまくり、オカマを掘られまくったあげく、ほぼ不死身の復讐の鬼」へ変化し、

妻は「良妻賢母」から「キャリアウーマンだけど旦那が浮気性で欲求不満な妻」へ変化して、

娘は「フツーのいい子」から「両親の不仲もあってやや反抗的かつ冒険好きそうな、親のコントロール下から抜け出そうとしている手のかかる思春期の娘」へとキャラ変。

 

そんな風にそれぞれが問題児化したために、当然ストーリーや個々のエピソードもすべてが下品になっていったのがリメイク版なのだということが分かった。

現代は下品な時代になったのだなあ、と言うべきか。

 

印象的だったのは、娘や妻、つまり女の描き方。オリジナル版では、娘が闘うそぶりを少しだけ見せるけどすぐに諦めるなど、基本的に女はギャーギャー叫ぶだけの受け身の描かれ方だった。

でもスコセッシのリメイク版では、妻こそ役立たずだったけど娘の方が実に勇敢で、頭の回転が早い女の子として描かれていて、最後はマックス打倒の立役者になっていた。

女も自立して強くなるのよみたいに、時代が女の時代になって、特にリメイク版で活躍するのは若い娘の方であることから、ああ徐々に時代が変わっていくのだなあと思わせる作りになっている。

この娘役をやったジュリエット・ルイスの演技力は一見の価値あり。彼女は若いのにこれでオスカー候補になったというけれど、それも納得。

 

オリジナルは「実際起こりそうな現実的なスリラー映画」として楽しめるし、リメイクの方は「荒唐無稽ながらも娯楽性が高いサイコ映画」として楽しめる。

あとは好みかな。

 

私は相変わらずのデ・ニーロの力の入った役作りと芝居に疲れ、スコセッシのやりすぎ演出に疲れ、デ・ニーロの不死身っぷりに呆れ、最後の爆笑演技&爆笑演出を見て「結局二人は思いっきり遊びたかっただけなのかもしれない」という印象を持った。

いやデ・ニーロは凄いよ、凄いんだけど、力が入りすぎてるのよ。「やってます」「力いっぱい演技してます!」っていう感じで笑えるのよ(私はデニーロ信者ではないので)。

スコセッシに対しても「デ・ニーロのためだけに映画つくってんじゃないよ」と説教してやりたい。

 

 

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