映画『地底探険(1959)』のデータ
題名 地底探険 (Journey to the Center of the Earth)
監督 ヘンリー・レヴィン
原作 ジュール・ヴェルヌ「地底旅行」(1864)
出演 ジェームズ・メイソン、パット・ブーン、アーレン・ダール
上映時間 130分
制作年 1959年
制作国 アメリカ
映画『地底探険(1959)』のあらすじ
エディンバラ大学地理学教授のオリバーは、ナイトになったお祝いに貧乏学生アレックから溶岩の塊をもらう。その溶岩の中には、100年前「地底には世界がある」と言って姿を消した科学者アーネ・サクヌセムのサインとメッセージが書かれていた。
オリバーはゲタボルグ教授に手紙で意見を求めるが、ゲタボルグはその手紙を見た直後に行方不明になる。ゲタボルグの魂胆を見抜いたオリバーは、手柄を横取りされまいとアレックと共にゲタボルグの後を追う。
途中何者かに襲われ、オリバーとアレックは地元の青年ハンスに救出されるが、ゲタボルグの方は毒殺されていた。ゲタボルグが最後に会った人物がサクヌセムの子孫サクヌセム伯爵であったことを知ったオリバーは、アレック、ゲタボルグの妻カーラ、ハンス、アヒルのゲルトルードと共に伯爵を追って地底へ向かう。
映画『地底探険(1959)』の予告編
映画『地底探険(1959)』の感想
トカゲはことごとく要らなかったと思う。トカゲさえなければ今でも映画の格調を保てたかもしれないのに。
でも、いかにも50~60年代風の地底セットもよかったし、アイディア満載、空想科学コメディみたいな感じでかなり楽しかった。オリバーとカーラの、犬猿の仲からの両想い成立の流れも典型的で安心できる展開だし、悪役のサクヌセム伯爵もクソで良かった。
個人的には、登場人物の中ではハンスと、ハンスがめちゃくちゃに可愛がっているアヒルのゲルトルートが大好き。目の周りが黒くて愛嬌があって滑稽な感じが可愛くて、大冒険の中のコメディ・リリーフとして非常に上手く機能していた。
いいなあ、あの関係。二人はずっと一緒なの。私にとってのこの映画の主役は、ほとんどゲルトルード。
でももちろんゲルトルードが主役であるはずはなく、主役は『海底2万マイル(1954)』のネモ船長役が有名なジェームズ・メイソンと、アイドル全盛期のパット・ブーン。
特にブーンはいかにも優等生的な甘いマスクで登場し、劇中では歌も聴かせてくれるぞ!
だいぶお馬鹿な役で、科学者になろうという男とは思えないドジっ子ぶり。穴には落ちるし、塩の流砂には自分から飛び込んじゃうし、地上にはないキノコなのにかぶりついちゃうし、探検中に負った怪我は大したことなさそうだったのに、ラストシーンで車椅子に乗ってるから「あれ?治ってなかったんだ?」って思ったら結婚式で怪我したんだって。あわてんぼさん。
命がけの大冒険である地底探検中もやたらとお気楽で、婚約者にもらったコンサティーナ(アコーディオン)を弾きながら歌を歌ってた。陽性だなあ。
そして普通入浴シーンといえば女優が担当すると相場は決まっているけど、今作ではヒロインのアーレン・ダールを差し置いて、パット・ブーンが入浴シーンを担当していた笑。後半はずっと上半身裸で半ズボン。
精一杯露出して、女性ファンに大サービスしたね。
でもトカゲがなあ。トカゲじゃなきゃダメだったかなあ。なんか自然現象とかでも良かったんじゃ。トカゲ、あんまり大きそうでもなかったし、大して活躍もしてなかったし・・・・。原作もああだったかなあ(覚えてない)。
ところでパット・ブーンは私ちょっと好きで、ベスト盤を持ってる。ベスト盤と言っても沢山ある10曲入りの「なんとかザ・ベスト」とかじゃなくて、100曲くらい入ってそうな「大全集」みたいなやつ。
彼はロックスターとしては優等生過ぎて、不良のエルヴィスと比較されては「優等生ww」って馬鹿にされて、そりゃあ比較すればやっぱりスーパースターのエルヴィスには敵わないんだけど、それはそれ、これはこれとして、ブーンは白人ポップスなんだからいいと思うよ、私は。
今の音楽と比べると音が少なめで、真夏の暑い日の夜にかなりいい。別にサマー・ソングでもなんでもないけど、音が少ないのとブーンの歌声がとても涼しげで、気分が良くなる。ほんとに夏に聞いてほしい。
今聴いても、20代前半の自分が思い出されて泣ける。胸アツ。
ところがなんと彼は1997年になって、突如ヘビメタ系のカバー・アルバム『メタルバカ一代』というCDを出し、レザー・ファッションに身を包み、ハーレーにまたがり登場して往年のファンの顰蹙を買ったらしい(笑)。
やるね。私? もちろん持ってる。
しかし『メタルバカ一代』って、訳した人天才だと思う (原題は「In a Metal Mood」)。