映画『見知らぬ訪問者(1952)』のデータ
題名 見知らぬ訪問者(Phone Call from a Stranger)
監督 ジーン・ネグレスコ
出演 シェリー・ウィンターズ、ゲイリー・メリル、マイケル・レニー、キーナン・ウィン、イヴリン・ヴァーデン、ベアトリス・ストレイト、ベティ・デイヴィス
上映時間 96分
制作年 1952年
制作国 アメリカ
映画『見知らぬ訪問者(1952)』のあらすじ
妻とトラブルを抱えている弁護士デヴィッドは、妻との決別を決意して飛行機に乗る。
天候が悪く飛行機は遅延し、その待ち時間に出会った歌手のビンキー、医者のロバート、セールスマンのエディと身の上話をする。デヴィッドは3人がそれぞれ悩みを抱えていることに気が付く。
陽気なエディの提案で4人は連絡先を交換する。それぞれ目的地に着いた後も、4人で会おうと言うのだ。
しかし飛行機は悪天候のため墜落し、デヴィッドだけが生き残る。デヴィッドは死んだ3人の連絡先を手に、残された家族を訪ね、最後の晩の話をしてまわる。
3人の人生はみなそれぞれ問題を抱えており、遺族らと話をしながらその問題を片付けているうちに、デヴィッドの意識にも良い変化をもたらしていく。
映画『見知らぬ訪問者(1952)』の一場面
映画『見知らぬ訪問者(1952)』の感想
軽めのタッチで話は進んで行くけれど、演じられているのは結構重めの人生ドラマ。オムニバス映画ではないんだけれど、後半主人公が3人の遺族に会いに行ったあとは、各家庭の話に切り替わってオムニバス映画風になる。
最初は主人公の弁護士と医者の二人の俳優が好きじゃなくて(ゲイリー・メリルとマイケル・レニー)、「大して二枚目でもないのに二枚目ぶっている男は嫌いだ」なんて思いながら見ていたが、後半で主人公が遺族を回り始めてからはそんな邪念もふっとび、集中して見ることができた。
要するに、そこそこ良い映画だった。
人というものは、表向きは豊かだったり幸せそうに見えても、実際は見た目とはぜんぜん違うらしい。この映画の登場人物たちは、みな何らかのトラブルを抱えている。
主人公は妻の浮気が発覚して妻と別れるつもりだし、医者はアル中の大ウソつき、歌手は大物歌手の姑とうまくいかず悩んでおり、下品で陽気なエディは障害を持った妻を持っている。
個人的には、特に陽気に振舞っていた歌手のビンキーとエディが悲しくて心に残った。
歌手として一旗揚げたいビンキーは、今はクラブを経営している昔の大物歌手の息子と結婚しているけれど、その姑からは「私の名前が欲しいだけでしょ」みたいに思われて、信頼を得られずにいる。
本当は彼女は心根が優しくて、悪い女じゃないのだけれど。。。それが徐々に明らかになってくる。どうやら一見ダメ男の息子の方が見る目があったらしい。
実は愛情深かったのに、それが誤解されたまま死んでしまう現実の儚さが悲しかった。
それから、4人の中で一番騒々しくて下品な男エディの妻への愛と献身が良かった。
あんなに下品だったのに、こいつはいい男だなあ。ラストで一気に男をあげていた。
意外にも俳優陣が充実していて、医者役は『地球が静止する日(1951)』で宇宙人クレトゥを演じていたマイケル・レニー。
紅一点、クラブ歌手役のシェリー・ウィンターズは、どこかで見たことがある、、、と思ったら『アンネの日記(1959)』と『ポセイドン・アドベンチャー(1972)』で見たのだった。『ポセイドン~』での水泳おばさん役の人。
最後に出てくるエディの妻役がベティ・デイヴィス。『ベティ・デイビスの瞳』という有名な曲があるけれど、そのベティ・デイヴィス。確かに目が印象的な女優。余談ついでに、撮影当時は弁護士役のゲイリー・メリルと夫婦だったらしい。
キム・カーンズ『ベティ・デイビスの瞳』
それから私が一番気に入ったのは、医者の妻役をしていたベアトリス・ストレイトという女優さん。ちょっとユマ・サーマンを髣髴とさせる知的美人で、大変美しいと思った。
でも彼女は映画よりもテレビ映画の方に力を入れていたみたいだから、これ以外で若い頃の彼女のお姿を見るのは難しそう。残念。