ぱっとみ映画感想ブログ

    1999年までの映画 特化型ブログです

2300年未来への旅(1976)

 

 

 

 

 

映画『2300年未来への旅』のデータ

題名 2300年未来への旅(Logan's Run)
監督 マイケル・アンダーソン
出演 マイケル・ヨーク、リチャード・ジョーダン、ジェニー・アガター、ファラ・フォーセット
上映時間 118分
制作年 1976年
制作会社 MGM
制作国 アメリカ

 

 

映画『2300年未来への旅』のあらすじ

23世紀。核戦争や大気汚染を生き延びた人類はドーム状の建物に住み、寿命までコンピューターに管理され、30歳までしか生きることが許されない。そんなシティからの逃亡者を粛正する未来警察(サンドマン)のひとりであるローガン5(ファイブ)は、外の世界にあるという ”サンクチュアリ” の調査と破壊をコンピューターに命じられる。

いくつかの出来事の後、疑問を抱いたローガン5はシティから逃亡することを決意。デート回路で出会った女ジェシカ6(シックス)と共に外の世界へ向かう。すると外はローガン5が聞いてきた世界とは全く違う世界が広がっていた。真実を知ったローガン5は、人々に真実を伝えるべくシティに戻り、コンピューターと対峙する。

 

 

映画『2300年未来への旅』の予告編

www.youtube.com

 

 

映画『2300年未来への旅』の感想

手のひらに埋め込まれた透明なクリスタルが、寿命の30歳に近づくと赤く点滅するのが印象的な、近未来ディストピア&管理社会からの脱出もの。

10代の私が「ディストピアや全体主義からの脱出映画」を好きになるきっかけを与えてくれた思い出の作品。

 

お世辞にも出来が良いとは言えなくて、いかにも60~70年代ぽいヒラヒラの衣装や、万博のパビリオンみたいなセットやロボットがちゃっちいし、

 『チャーリーズ・エンジェル』でブレイク直前のファラ・フォーセットが、頭の悪そうな女の役で出てきてすぐに死んでたのはまあ良いとして、英語だから何を喋っているのか皆目わからない私でも分かるほどの大根女優ぶりだったり、

ストーリー上も、コンピューターがなぜローガン5を外に行かせたのかよく分からないし、ローガン5の寿命を削った理由もよく分からない。

それにこんな題名なのに未来には全く行かないという、『2001年宇宙の旅』 にあやかりすぎな邦題。ローガンズ・ランで良かったのに。

 

この時代の人間たちは、コンピューターに管理されるようになってかなり時間が経っているのか、みなナチュラルに管理されている。なぜこんなドームに住んでいるのか、その外に行かれないのは何故なのか、疑問に思うこともない。

 

おまけに、かろうじて疑問を持ったローガン5が脱出して、外の世界で出会う “老人(Old Man)” があまりにも中途半端。

リンカーン記念館に住んでいるみたいで、住み家は図書館みたいに本がいっぱいあるのに、まったく何にも知らない役立たず。

沢山ある本はただの飾り、オブジェと変わらない。何のためのロケーションなのか意味不明。

ここはやはり、『タイムマシン(1960)』のように、失われた知識を嘆くとか、読みたいのに風化して読めないとか、何かひと言欲しかった。

あるいは『ソイレント・グリーン(1973)』のソルとか、『華氏451(1966)』のブックマンみたいに、超絶物知りの設定にして、知恵も知識も失った人類の、一縷の望みを持つ老人として登場させて、未来はこの一人の老人と大勢の無知な若者に託されました、みたいな展開が欲しかった。

ところが全くそうはならない。要するにこの爺さん、ただの雰囲気づくり。賢者風のたたずまいで、たたずまいが賢者なだけ。

 

だいたいこの爺さんだけでなく、ローガン5も、あんなに本がいっぱいあるのに誰もその事にひと言も触れない。「なぜこうなのか?」という疑問を持たないということは、歴史を持たないのと同じだ。

そんなんだから未来をも失って、従順にシステムを受け入れるだけになっちまうんだ。私はヤダね。

映画のラストは「洗脳から解き放たれた人類!」って感じでハッピーエンドみたくなっていたけど、私は「こんな彼らに明るい未来は訪れるのだろうか」と冷ややかに見てしまう。

そんな風に反面教師的に私に考えさせる、この映画はそういう意味で私にとって傑作なのだった。

 

 

蛇足だけど、他にも気になったのは、ローガン5の友人フランシス7の存在。

ローガン5を追い詰めていく執拗さは尋常じゃあないし、ジェシカ6を「こんな女!」って言ってたし、おまけにローガン5を風呂に誘っていた。

やっぱりこれって ”隠れゲイ映画” なんだろうな。“隠れゲイ映画” って、思いのほか多いのかも。

 

 

2300年未来への旅 [Blu-ray]

2300年未来への旅 [Blu-ray]

  • マイケル・ヨーク
Amazon