ぱっとみ映画感想ブログ

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激怒(1936)

 

 

 

 

 

映画『激怒(1936)』のデータ

題名 激怒(Fury)
監督 フリッツ・ラング
出演 シルヴィア・シドニー、スペンサー・トレイシー
上映時間 92分
制作年 1936年
制作国 アメリカ

 

 

映画『激怒(1936)』のあらすじ

至って真面目で善良な主人公ジョーは、ややもするとアウトサイダーになりそうな弟たちを見守りながら善良に生活していた。ジョーにはチャーミングな婚約者キャサリンがいて、まとまった金が出来たら結婚するつもりだ。彼女のためにも一日も早く生活を安定させたい主人公は、弟たちとガソリンスタンドを経営し、事業は軌道に乗り始める。

やがてキャサリンを迎えにいける日がやってきた。ジョーはキャサリンの住む町へと車を走らせるが、なぜだか誘拐犯と間違われて投獄されてしまう。

すると大した証拠がないにも関わらず、町の住民たちは独断でジョーを犯人と決めつけ、あらぬ噂をまき散らし、暴徒と化した市民たちが刑務所へ大挙して押しかけ、ジョーを刑務所ごと火だるまにしてしまう。

すぐに真犯人が捕まり主人公の無実が明るみに出るが、町の住民は事件自体をなかったことにしようと、みな口をつぐんでいる。ところがジョーはまだ生きていた。業火から命がけで逃げ出したジョーは身を潜め、町の人間たちへの復讐を誓う。

すっかり人が変わったジョーは、弟たちを手足につかい、自分を殺そうとした住民たち22人を訴え、絞首刑に送り込もうとする。

一旦はジョーの思惑通りに事は運ぶが、最後はキャサリンに説得され、町の住民を死刑から救うため裁判所へ姿を現す。

 

 

映画『激怒(1936)』の予告編

www.youtube.com

 

 

映画『激怒(1936)』の感想

気楽に見はじめたら、思いがけず重い作品で思わず引き込まれた。

しばらくは、人のよさそうな、素朴で朴訥とした主人公ジョーと、その婚約者キャサリンの控えめでロマンチックなやりとりにほっこりできるが、ジョーが無実の罪で投獄された途端に映画は一転、社会派の面を強め、群集心理の恐ろしさを見るものに突き付けてくる。

かなり攻めた内容で、大衆の暴力性をテーマにした秀作というところ。

 

無実の罪を着せられ投獄されるだけでも耐えがたいのに、自分を犯人だと決めつけた連中が、気が狂ったかのように騒ぎ、お祭りのように狂喜乱舞し、笑いながらリンチしようとやってくる。

あの人々の姿を見てしまったら、彼らを許せと言われても許せるもんじゃない。復讐を考えない方がどうかしている。

復讐を誓うといっても、『ケープ・フィアー(デ・ニーロの方ね)』みたいに荒唐無稽なアクション映画にはならない。主人公は町の住民たち全員を裁判にかけて裁こうとする。とても現実的。

あの住民たちの行為は許されるもんじゃないので、なんとしてでも有罪に持っていきたいところ。

 

でもジョーは死んだと思われているけれど、実際には生きているので死体がない。だから殺人事件としては成り立っていない。

それにもしジョーが22人を ”自分殺しの罪” で殺人として絞首刑に送り込んでしまったら、ジョーは無実の者を殺してしまうことになる。これもリンチと何が違うのか。

 

この矛盾をキャサリンが突きつける。もしこれが成功したら、あなたは決して幸せになれないわ、と。永久に死人として生きていくことになるのよ、、、と。

一旦は闇落ちして復讐の鬼と化した主人公の心を正しい方向へと導くのが、美人じゃないけどチャーミングな婚約者だというところが救われる。

 

 

このジョーを演じたのが ”男の中の男” という感じのスペンサー・トレイシー。私はこういう男の人好きだな。ジャン・ギャバンよりずっと格好いいと思う。

ヒロインのキャサリンを演じたのは、先日取り上げた『サボタージュ(1936)』にも出ていたシルヴィア・シドニー。今回もやっぱり美人でもなく、可愛いわけでもないのに、なんだか魅力的という感じだった。不思議な魅力がある。

 

それにしてもこういう暴徒化する市民って、ほんとうに嫌だ。私はこんなに簡単に群集心理に取り込まれたりは絶対にしない。

 

 

激怒(字幕版)

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