映画『悪魔の人形(1936)』のデータ
題名 悪魔の人形(The Devil-Doll)
監督 トッド・ブラウニング
出演 ライオネル・バリモア、モーリン・オサリバン、ラファエラ・オッティアーノ
上映時間 79分
制作年 1936年
制作 MGM
制作国 アメリカ
映画『悪魔の人形(1936)』のあらすじ
ラボンドは、かつての銀行家時代に3人の同僚に裏切られて無実の罪を着せられ、17年間刑に服していた。ラボンドは罪人の娘として生きざるを得なかったひとり娘のためにも罪を晴らしたい。
そこで仲間のマルセルと共に刑務所を脱獄、マルセルの家に身を寄せる。研究者のマルセルが、生き物を手乗りサイズに縮める術を発明していたことを知ったラボンドは、小さく縮めた人間を使って3人に復讐することを思いつく。しかしマルセルは心臓麻痺で死んでしまう。
ラボンドは、マルセルの右腕として研究を守ってきたマルセルの妻と共にパリへ行き、老婆の姿に変装して復讐のチャンスを待つ。また、洗濯屋で働き苦労している娘のロレインに老婆の姿で会いに行く。ロレインにはトトという誠実な恋人がいるが、犯罪者の娘として差別されつらい人生を送ってきたロレインは、トトとの結婚をためらっていた。
ラボンドは縮小した人間を使って着々と復讐を遂げていく。最後の一人が恐怖のあまりラボンドの無実を認め、ラボンドの目的は果たされる。
冤罪が認められたラボンドは老婆の衣装を脱ぎ捨て、トトに会いに行き正体を明かす。しかしロレインには自分の正体を明かさず、ラボンドの友人としてロレインと会い、「ラボンドは獄中で死んだこと、ずっとロレインの身を案じ、いつもロレインのことを考えていた」と告げる。そして名乗りを上げぬままロレインの元を去るのだった。
映画『悪魔の人形(1936)』の予告編
映画『悪魔の人形(1936)』の感想
バリモア三兄弟の長男ライオネル・バリモアと、ターザン・シリーズのジェーン役、モーリン・オサリバンの作品。監督は『フリークス(怪物團)(1932)』のトッド・ブラウニング。
特筆すべきは、使われている特撮映像が驚くほど自然なこと。
特に小さくなった女性が夜中に宝石を盗み出す一連のシーンなんて、相当すごい。どうやって撮影したのか分からないくらい。たぶんかなり大掛かりなセットを組み、相当こだわった合成を行ってるんじゃないかしら。
ストーリーはありふれているし、ラストは人情メロドラマ的に終わるけど、特撮技術だけでもこの映画は見る価値がある。
そしてターザン・ジェーン役のオサリバンはやっぱり可愛い。
彼女はあのミア・ファローの母ちゃんなわけだけど、タイプも見た目も二人は全然似ていない。個性的で不思議ちゃんのミアに対してオサリバンは庶民的で善良で堅実そうな、いたって常識的な美人。
女優としてはミアに軍配が上がるだろうけど、私オサリバン好きよ。
ライオネル・バリモアは、ずっとおばあちゃんの格好をして、声も裏声を使って不自然な喋り方を通すので、彼が演技派なのかはあまり分からなかった。
ただ、ラストで娘のロレインを見つめるまなざしは、温かみのある慈愛に満ちた表情で良かった。
登場人物の中で私が一番好きだったのは、ロレインの恋人トト。ロレインを嫁にもらいたくて、タクシー会社を立ち上げて一旗あげようと頑張っている健気な青年。
映画ではちょうど3台目のタクシーを手に入れたところで、出番は少ないけど、ロレインを大切にしている気持ちが伝わってくるし、ルックスも含めてチャーミングな男性だなと思ったね。
ロレインは必ず幸せになれるでしょう。
ところで、マルセルが生物を縮める研究をする動機はなんなのかというと、未来は人口爆発で食糧難になるだろうから、生物の大きさが6分の一になれば、食べ物も6分の一で済むだろうというもの。
動機は至極真っ当だけど、私は無理だと思うな。人類はこの大きさだから発展したんだと思う。だってもし鼠くらいの大きさになっちゃったら、大雨が降ったら巨大な雨粒が襲ってくることになるわけでしょう。風だってなんだって6倍の威力。
日常が大災害。・・・無理なんじゃないかな。