映画『恐怖のまわり道(1945)』のデータ
題名 恐怖のまわり道(Detour)
監督 エドガー・G・ウルマー
出演 トム・ニール、アン・サヴェージ
上映時間 67分
制作年 1945年
制作国 アメリカ
映画『恐怖のまわり道(1945)』のあらすじ
ヒッチハイクで乗せてもらった車の持ち主がひょんなことで死んでしまい、それを自分が殺したと勘違いした男アル。アルは死体を放置し車で逃走するが、途中で拾った女がその男の愛人で、しかもとんでもない性悪女だった。
アルは無実を主張するが、男の遺体を放置してきた事実からは逃れられず、女に弱みを握られ完全に主導権を奪われてしまう。
アルはなんとか主導権を奪い返そうとするが上手くいかない。そして揉めるうちに、やはりひょんなことでその女を殺してしまい、今度こそ本当に殺人者になってしまう。
映画『恐怖のまわり道(1945)』の予告編
映画『恐怖のまわり道(1945)』の感想
これはなかなかの作品。脚本が面白いし、登場人物がほぼ2人だけで分かりやすいし、映画の規模は低予算で60分程度の小品だけれど、そのコンパクトなところもいい。これは拾い物。
主人公は見た目がカート・ラッセル似で、常に困り眉のカート・ラッセルって感じ。
タフガイな見た目なのに、仕事が場末のクラブのピアノ弾きなの。咥え煙草でピアノを弾くの。用心棒が似合いそうなルックスなのに。
場末のピアノ弾きなんて、ダメ男なんじゃないかってイメージもあるけど、彼は別にそんなことなくて、恋人の事を大事に思っている感じが伝わってくるし、女好きでもなさそうだし、常識的だとも思う。頼りがいもありそうだし、真っ直ぐないい男だと思う。
それなのにあんなことになるなんてねえ。とにかく運がない。
とにかくずっと困った顔してるけど、そりゃそんな顔にもなりますよ。運がなさ過ぎたもの。
そもそも彼は同じナイト・クラブの歌手と恋仲で、お互い思い合っていて上手くいっているのに、彼女が「ハリウッドに挑戦するわ」と言い出して旅立ってしまう。
そしてその彼女を追いかけるためにヒッチハイクをしたのが運の尽きで、運命が瞬く間に下降していく。
乗せてくれた男がなんか知らないけど死んでしまっただけでなく、下心なんかなく、親切で車に乗せてやったヒッチハイクの女が恐ろしいほど不愉快な女で、車に乗り込んだ瞬間から死ぬ直前まで、ずーーーーーっと不愉快極まりない。
不愉快どころか、あらゆる瞬間を修羅場にする女なの。
こんな女がいたらげんこつで殴りたくなると思う。もう殴っていいと思う。これほど利己的で周りを不幸にする女は、殴られても文句言えない。
というわけで、この映画の見どころはこの女。
演じたのはアン・サヴェージという女優さんで、この作品が代表作っぽい。
少し顔が大きめで頭がどっしりしているから、その発言や行動が押しが強くて説得力がある。
女優としてやるのであれば、これくらいクソだとやっていて楽しいものかもしれない。