
映画『さらばベルリンの灯』のデータ
題名 さらばベルリンの灯 (The Quiller Memorandum)
監督 マイケル・アンダーソン
脚本 ハロルド・ピンター
原作 アダム・ホール(エルストン・トレヴァー) 「不死鳥を倒せ」 1965年
出演 ジョージ・シーガル、アレック・ギネス、マックス・フォン・シドー、センタ・バーガー
音楽 ジョン・バリー
上映時間 107分
制作年 1966年
制作国 イギリス
映画『さらばベルリンの灯』のあらすじ
戦勝国であるアメリカ・イギリス・フランス・ソ連の4か国は、ドイツの非軍事化、非ナチ化、民主化を進めていた。しかしナチの残党は根強く残り、「ネオナチ」として地下活動を続けている。しかも彼らは市民の中に紛れ込んで活動していて、見分けるのは容易ではない。
英国はそんなネオナチの動向を探り壊滅するため二人のスパイを送り込んでいたが、次々と殺害されてしまう。そして3人目としてクィラーが選ばれ、東ドイツへ潜入する。
映画『さらばベルリンの灯』の予告編
映画『さらばベルリンの灯』の感想
ベルリンの壁ができて5年後の制作。実に渋いスパイ映画で、私この作品大好き。
スパイ映画と聞くとすぐに007シリーズが頭に浮かぶけど、この映画はそういう娯楽的要素はまるでなし。
情報源の女教師は美人だし、お約束的に彼女と寝ていたが、劇画的な007シリーズとは一味違う、かなり現実的なスパイ映画。
全編ひたすらクィラーの悲しみが伝わってくる。
ジョージ・シーガル演ずるスパイ、クィラーは全然楽しそうじゃない。表情は伏し目がちな上目使い、眉毛をいつも八の字にした困ったような顔つきで全くさえないし、足取りも重く、猫背でもそもそと動いていて、全然乗り気じゃない感じ。
まるで中間管理職のように、上司からは監視され、現場でも他の諜報員の監視付き。上司は部下の事なんてただのコマとしか考えてないふしもある。
それにたとえ味方の人間であっても、結局は誰も信用できないし、信用しないという、なんとも言えない世知辛さが滲み出ている。
そこにジョン・バリーのせつないメロディが流れて、さらに物悲しさが強調される。
映画ではさらっと描かれているが、でてくる登場人物、すれ違う人まで、みんな敵。しかも見た感じはいたって善良そうな、ごく普通の人達。得体が知れない恐怖。
こういう静かにしなやかな人たちの中で、優生学的なナチズムが息づいているのだとすると、なんかすごく怖いなあ、と思わせる。
静かに静かに狂気が沁み込んでいる感じ。
見終わった後で、少しずつ少しずつ、皮膚からなにかが、悲しみみたいなものが沁み込んでくる、そんな大人の映画なのだった。
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