題名 踊る海賊(The Pirate)
監督 ヴィンセント・ミネリ
制作 アーサー・フリード
出演 ジュディ・ガーランド、ジーン・ケリー
音楽 コール・ポーター
上映時間 102分
制作年 1948年
制作会社 MGM
制作国 アメリカ
愛のない結婚を強いられているマニュラは、心の中では伝説の海賊マココに憧れ、マココとの結婚を夢見ていた。そんなマニュエラの前に女たらしの旅芸人セラフィンが現れる。実は彼はマニュエラが夢見る海賊マココだった。
お気楽ミュージカル。話が面白いとかではなく、二人が楽しそうだから見てるこっちも楽しくなる、そんな映画。中身は特にない。
悪行の限りを尽くして伝説となった海賊マココを演じるのは、大好きなジーン・ケリー。おまけに女性の名前を言い間違えないよう、女は全員 ”ミーナ” と呼ぶことにしているような女たらしでもある。あっちで「ニーナ」こっちでも「ニーナ」と女を口説いていた。
そして超大スターでダンサーなのに、今回は綱渡りをしていた。「ほんと何でもやるな」と思った。
ジーン・ケリーはダンサーだから、ダンスが上手いに決まっているのだが、「ダンスが上手いなあ」というよりは「なんて運動神経のいい男なんだろう!」といつも思う。超絶アクロバティック。「綱渡り」を筆頭に、動きがいちいち運動神経よさそう。ただ歩いたり、立ち止まったりするだけでも運動神経が良さそう。とにかくどこまでも運動神経が良さそう(シツコイ)。ほんといつも感心する。
今作では綱を渡る時、手を上げて「ジャジャーン!」って口で言ってから渡っていた。彼はミュージカル・スターなんであって、全然コメディアンではないのだが、その辺のコメディアンより数倍笑える。
そして笑顔! 「笑ってます!」っていう感じ。そういう大味なところが大好き。
そしてジュディ・ガーランド。カリブ海を駆け巡る海賊マココに自由を感じて憧れている、夢見がちな少女マニュエラ役。
だけどだいぶ年長でだるまのように太った村長ドン・ペドロに見染められ、結婚を申し込まれる。そして「夢より安定」と言う現実的な叔母に諭され、良く分からないまま承諾して、「夢と現実は違うのよね」と自分に言い聞かせる女の子。
そこへ現れたジーン・ケリー演ずる女たらしの役者セラフィンに恋をする。
相変わらず今作でも、いかんなくコメディエンヌぶりを発揮していた。「マコォコォ、マコォコォ」と海賊マココへ憧れを熱く語っていたと思ってたら、急に歌い始めて笑ったよ。これだからミュージカルは楽しくてやめられない。
ジュディ・ガーランドと言えば、薬物中毒、遅刻、撮影をすっぽかすとか、とにかくその手のゴシップに事欠かないお方。子役から大スターになって、この映画を撮影している時はもう立派な薬物中毒で、撮影にもぜんぜん現れなかったんだとか。それでこの映画の撮影終了後、療養所に入れられてしまう。でも映画の画面からは、彼女が裏ではそんな風に苦しんでいるようにはみじんも見えない。プロだなあ。
撮影に全然来なくても、ジーン・ケリーはこのあとも彼女と共演していたがっているのだ。