ぱっとみ映画感想ブログ

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泣きぬれた天使(1942)

 

 

題名 泣きぬれた天使(L'ANGE DE LA NUIT MISSION A'TANGER)
監督 アンドレ・ベルトミュー
出演 ジャン=ルイ・バロー、ミシェール・アルファ、アンリ・ヴィダル
上映時間 87分
制作年 1942年
制作国 フランス
 


私にとってこの作品を一言でいえば「優等生なために、モラルや常識に捕らわれてしまった、愚かな女の子の話」。

メロドラマは性に合わない私でも、この映画は印象に残る。と言っても「分かる分かる」とか「素敵!」とか、そういう前向きなものではなく、「分からん!」「なぜ!」で印象に残る感じ。ではこの映画はダメなのかというとダメなのではなく、傑作だと思う。

 
若く貧しく孤独な娘ジュヌヴィエーブは逞しい青年ボブと恋に落ちるが、戦争が始まりボブは戦場へ行ってしまう。
やがて戦争も終わり男たちが戦場から戻ってくるがボブは戻ってこず、手紙一つこない。学生仲間のひとり、彫刻家でリーダー格の男ジャックが戦場から戻ってくるが、ジャックは怪我で盲目となっていた。
ヤケになるジャックを励ましているうちに、二人はお互い支え合うようになる。彼女の献身に支えられ、創作への意欲を取り戻したジャックは、心優しいジュヌヴィエーブを愛し依存するようになる。
しかし心の中ではボブを忘れたわけではないジュヌヴィエーブは、下宿屋の主人にその迷いを打ち明ける。「ジャックといると心が落ち着くわ。でもボブに見つめられると胸がときめくの」。主人は「ジャックとの関係が本当の愛だ」と諭す。
そんな中、戦地からボブが戻ってくる。二人の間で揺れるジュヌヴィエーブだが、最後はジャックを選ぶ。



いーや、ボブでしょ! おかしいでしょ。どう見てもジャックに恋してないでしょ。ただ「役にたっているだけ」でしょ。下宿屋のおやじも間違ってる。それはそれでやり甲斐とか自分の存在意義を感じるかもしれないけど、それは愛じゃない! ここは衝動的にボブと寄りを戻してジャックを捨てて欲しかった!  

だから優等生はダメなんだよー。自分に対してまわりが勝手に持つイメージに、自分自身が閉じ込められてる。実際、全編を通じてジュヌヴィエーブはすごく真っ当、良い子、善良、模範的。
自分の本音を見つめて、打破してよ。

まあ、、、不幸な方がやり甲斐があるような気がしてしまうのは分からなくはない。でもそれは間違っているんだと思うよ。幸せになって、そしてやり甲斐を感じるのが正解なんだと思う。


ジャックもなあ。元カノが忘れられないらしくて「優しく礼儀のある女性がいい。若くて無垢で・・・シモーヌ(元カノ)は理想の女だった。気品高く、そして・・・」とか言っちゃって混乱しすぎ。あなたの元カノ、全然そういうタイプじゃなかったよ。あなたが言っている「優しく礼儀ある」はジュヌヴィエーブの方でしょ。私、ジャック無理だなあ。
 
しかし下宿屋のオヤジ、ほんとろくなこと言わないな。良いこと言ってる風にしてるけど、「盲目になって暗闇のジャック」と「恋人を失ったと思って暗闇にいるジュヌヴィエーブ」の暗闇コンビがくっついたって、幸せになれるわけない。二人の未来は暗い。ジュヌヴィエーブはちゃんと分かってたのになあ。つまらんことを言いよってからに。
 
だいぶ納得できなかった(傑作だけど)。