ぱっとみ映画感想ブログ

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地球の静止する日(1951)

 

 

 

 

 

映画『地球の静止する日(1951)』のデータ

題名 地球の静止する日(The Day the Earth Stood Still)
監督 ロバート・ワイズ 
原作 ハリイ・ベイツ 「主人への告別」(1940年)
出演 マイケル・レニー、パトリシア・ニール、ビリー・グレイ
音楽 バーナード・ハーマン
上映時間 92分
制作年 1951年
制作国 アメリカ

 

 

映画『地球の静止する日(1951)』のあらすじ

地球に謎の飛行物体が現れる。銀色の円盤はワシントンの4面野球場に着陸。中から出てきた男は、「私は平和の使者であり、地球人に危害は加えない」と語るが、気の小さい警官が思わず発砲。すると円盤からロボット ”ゴート” が現れ、地球人の武器をことごとく無力化する。

男の名はクラトゥ。彼はアメリカ政府の役人に「自分は4億キロ先の惑星から5か月かけてやってきた」と語る。そして地球に来た目的を話すため、すべての国家の首脳を集めるよう要求する。しかしアメリカ政府は、反目し合う地球人を一か所に集めることは出来なかった。

するとクラトゥは逃亡。地球人に紛れ込み、科学者のバーンハート教授のもとを訪ねる。クラトゥは教授に「地球人が原子力開発に成功したことを知ってやってきた。もし地球人がこれ以上増長するなら、容赦なく地球を爆破するつもりだ」と語る。教授はクラトゥに、地球を破壊するのではなく、もう少し穏当な方法を検討するよう提案する。驚異的だが、破壊的ではない方法を。

クラトゥは地球人に事の重大さを知らしめるため、ゴートと宇宙船を取り戻し、地球上すべての電力を一斉に止める。しかし事態は一層深刻となり、正体がバレたクラトゥは軍に追われ射殺されてしまう。

クラトゥの異変を知ったロボット ”ゴート” が起動する。ゴートは地球を破壊する能力を持つ。ゴートの暴走を止めるため、解除コードを託された住民ヘレンは、ゴートの破壊コードを解除する。

ゴートがクラトゥの遺体を回収し医療を施すと、クラトゥは息を吹き返す。そしてクラトゥが再度地球人への説得を試みる。

 

 

映画『地球の静止する日(1951)』の予告編

www.youtube.com

 

 

映画『地球の静止する日(1951)』の感想

キアヌ・リーヴス主演の『地球が静止する日(2008)』は、これのリメイク。キアヌ版は 『地球 “が”』 でこっちは『地球 “の”』 だけど理由は知らない。

題名からして「地球が静止したら、地球上のありとあらゆるものが宇宙空間にすっとんじゃうんじゃないの?」と思ったが、どうやらそういうことではなかったらしい。

 

さすがに美術センスや特撮技術は古臭いけれど、かなり真面目なSFで、見ていて楽しい娯楽作というよりも、平和プロパガンダ映画みたい。

簡単に言うと、地球人が核開発に成功したことを知った宇宙人クラトゥと宇宙警察ロボットのゴートが、宇宙をはるばる地球まで説教しにやって来るという話。このクラトゥ目線で物語は進む。

彼は「特定の国のトップとは話をしない。なぜなら幼稚な嫉妬や疑惑をまねくだけだから」と言っていた。でもアメリカを選んで着陸したんでしょお?そんなら空中から全首脳に一斉に語り掛ければよかったじゃん、それくらいの技術はあるんでしょおお、と言いたくもなるが、それはまあいいとして、

ヤツは「(核戦争とかを)地球人だけでやらかしている間は好きにしていていいよ、でも地球の外に出て行こうとするのなら、言うこと聞かないと地球を爆破するよ、こっちの言う事を聞けば限定された自由を与えるよ」と言っていた。

すごいのよ。有無を言わさぬ圧力で。平和を暴力で実現しようというやり方。いい人風に見せてからの、しっかりドスも効かせる怖いやつ。

見方によってはアメリカ人思想がさく裂。「このゴートとクラトゥの役割を担っているのが、我々アメリカ人なんだよーん」という風に取れなくもない。

 

それにしてもクラトゥは、一見すると節操があって常識があってモラルがあって、淡々と、粛々と任務をこなしていて・・・なんだか欲望がなさそう。ゴートよりもクラトゥの方がロボットみたい。

だからなのか、そのクラトゥが押し付けてくる社会も、ちゃんとしすぎていて、いまひとつ面白みに欠ける気が。何のために生きてるんだろう。もっと我儘に生きてもいいんでないの。

理想か? 理想のためだけに生きてるのか? 高度な知性で知的好奇心だけで生きてるのか?

それとも理想を他人に押し付けるのを生きがいにしてんのか?

私にはとんと分からんな。

 

意外にも監督は名匠ロバート・ワイズなのに軽く驚いた。ロバート・ワイズと言えばすぐに『ウェスト・サイド・ストーリー(1961)』とか『サウンド・オブ・ミュージック(1965)』が頭に浮かぶ名監督だけど、意外とこういうSF映画も監督しているんだ。

『アンドロメダ・・・(1971)』はともかく、『スタートレック』の映画化第一作目(1979)までもがロバート・ワイズだったとは。スタートレック・ファンなのに気付かなかった。かなり幅の広い職業監督タイプなのね。

 

 

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