ぱっとみ映画感想ブログ

1999年までの映画 特化型ブログです

摩天楼(1949)

 

 

題名 摩天楼(The Fountainhead)
監督 キング・ヴィダー
出演 ゲイリー・クーパー、パトリシア・ニール、レイモンド・マッセイ
上映時間 114分
制作年 1949年
制作国 アメリカ

 

 

建築家のハワード・ロークは、才能はあるが徹底的に妥協しない性格が災いし、石切り場の作業員にまで落ちぶれていた。そこで「ニューヨーク・バナー誌」コラムニストのドミニクと出会い、互いに強く惹かれあう。しかしチャンスを掴んだロークは、ドミニクに告げずに石切り場を去り、新時代の建築家として日のあたる場所へ返り咲く。

そんなロークに「ニューヨーク・バナー誌」の社長ゲイルが、妻ドミニクのための別荘の設計を依頼する。ゲイルは過去にローク失墜の原因を作った人物であり、今やドミニクの夫でもあるが、二人は似た者同士として意気投合。親友同士となる。

そんな中、学生時代からの友人の建築家キーティングから「名前を伏せて自分の代わりに設計してほしい」と頼まれる。ロークは「必ず設計通りにそっくりそのまま建築すること」を条件に引き受ける。ところが完成したビルはロークの設計とは似ても似つかないデザインだった。

自分の美学を貫くためにビルを爆破したロークは裁判にかけられる。ゲイルはロークに有利になるよう社運をかけて新聞で世論に働きかけるが失敗する。しかし自己弁護を行ったロークの最終弁論が陪審員の心を動かし、ロークは無罪を勝ち取る。

その後、一連の出来事に打ちのめされたゲイルの最期の依頼であるワイナンド・ビルが完成し、ロークは意気揚々とビルの屋上に立つのだった。

 

 

うーん。全く理解できなかった。

私にはハワードが無罪になるのは全く理解できないし、美学や信念を貫く姿が美しいとも思わなかった。いくらなんでもやりすぎ。個人の美学を貫くためにやっていい範囲を超えている。

もちろん陪審員が無罪にしたのも理解できない。どんなに理想とロマンにあふれる演説をしても、爆破はダメ。有罪。

ラストでビルの屋上で仁王立ちしている姿なんて、「なんじゃそりゃ」って思ったもん。自己満足も甚だしい。全然共感できない。

 

会社を潰すまでロークの味方をし続けるゲイルも、やっぱりやりすぎだと思う。

好きよ、そういうの。だけどやっぱりやりすぎだと思うなあ。

友情と罪滅ぼし、、、だけでなく、こちらも美学や信念があってのことだと思うけど、大勢の社員を路頭に迷わせてしまったわけで、そこまでやりますかあ。

 

それにヒロイン役のパトリシア・ニールが全く好きになれなかった。

棒演技も、貧相な顔立ちも気に入らなかったし、声もひどい。途中までは欲求不満ヒステリーみたいで超怖い。後半はしおらしくなっていたけど、なぜにこの女が、ロークとゲイル、おまけにキーティングまでの心を射止めてんのか、私には全然わかんないね。

 

ま、クーパーもいっつもおんなじ顔だけどね、、、きっとどんな役をやってもゲイリー・クーパーなんだろうな、と思わせるスターぶり。格好はいいんだけど。

 

ただ、ゲイル役のレイモンド・マッセイは、やたらと存在感があって良かった。

彼の映画は『来るべき世界(1936)』しか見ていないけれど、どちらも「目力全開!」って感じの威圧感。

やたらと自信満々なの。目力が強くて、常に目がキラキラしていて、うっとおしい。うざい。でも印象に残る。

登場人物の中で一番好きだった。この社長だったら、私も最後まで残る系の社員になりたい気持ち、あったもん。

 

もう一人、脇役だけど示唆に富んだ凡人建築家のキーティング。凡人のくせに野心があって、分不相応な地位を望むからいいように利用されちゃって、、、この凡庸さが引き起こす悪は、他人事じゃないなと思ったね。

私はこうはなりたくないし、自分の人生を振り返ると、ならなかったと思うね。

 

 

摩天楼(字幕版)

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