ぱっとみ映画感想ブログ

1999年までの映画 特化型ブログです

殺したいほど愛されて(1984)

 

 

題名 殺したいほど愛されて(Unfaithfully Yours)
監督 ハワード・ジーフ
原案 プレストン・スタージェス 
出演 ダドリー・ムーア、ナスターシャ・キンスキー、アーマンド・アサンテ
上映時間 97分
制作年 1984年
制作国 アメリカ

 

 

プレストン・スタージェス監督『殺人幻想曲(1948)』のリメイク作品。個人的にはオリジナルよりこのリメイクの方が好き。

 

 

名指揮者の主人公が、若い妻を持ったばかりに浮気してるんじゃないかと勘繰ったあげく、妻を殺害して浮気相手に罪をかぶせようとノリノリで計画を練るが、驚くほど都合の良い計画を立てたがために、何一つうまくいかない、という話。

 

 

注目すべきは、主人公クロードがコンサート中に完全犯罪を夢想しながらオケを振っている一連のシーン。

ご都合主義にご都合主義を重ねてやたらと緻密な計画になってしまい、殺される被害者までがクロードの都合通りに動いてくれないと成功しない、ザル中のザル計画なのに頭の中では超上手くいくからクロードは指揮棒を振りながらもう高笑い(笑) 

すっかり成功した気になって「完全犯罪だああ!」と盛り上がり、すぐに罪をかぶせようとしているマックスを食事に誘うが、のっけから断られて狼狽。その後も次から次へと雪崩のように上手くいかない。

で、どう見てももう無理なのに、それでもなんとか貫徹しようとあがくクロードの姿を鑑賞するのが面白い。

クロード、あほだなあ。

 

 

出演陣がさすがの出来。クロード役のダドリー・ムーアはもともとミュージシャンだし、クラシックの勉強をずっとしていた人だから、指揮棒を振る様は実に様になっている。

マックス役のアーマンド・アサンテも元々ヴァイオリンが弾けるらしく、その演奏シーンはしっかりしてる。音自体は吹き替えだけど、子供の頃からしっかり弾いてきたんだろうなと思うほど様になっていて違和感ゼロ。

だからこの2人がヴァイオリン演奏で対決するシーンは見ごたえ抜群。使用している曲はチャルダッシュで盛り上がるし、本当の決闘シーンみたいな演出になっていて、音ハメも見事で実際に弾いているように思った(吹き替えだけど)。

 

 

さらに脇役まで抜かりない。クロードの使用人ジュゼッペがいい味出してる。茄子を女性に見立てて優しく茄子にキスをしていたと思ったら、急に豹変してイタリア語でまくしたてながら茄子をナイフでメッタ切りには笑った。

 

ただ、ダニエラ役のナスターシャ・キンスキーは彼女の個性に合ってなかったように思う。懐かしの80年代ファッションが似合っていて格好いいし、別に悪くはないんだけど、役作りがちょっとはしゃぎすぎ。

若さをはき違えてるようにも思うし、コメディだから気負っちゃって力の入れ加減を間違えたかな。彼女の魅力が出ている作品はもっとほかにあると思う。

 

 

オリジナルは「俳優がコメディをやっている」っていう感じで、リメイクは「コメディアンが俳優をやっている」っていう感じ。その分コメディとしてはリメイクに分があったのでは。

でも、スタージェス監督の設定がすべてなのも事実。そもそもの設定が素晴らしいのよ。なので次回はオリジナルの感想を上げる。

 

 

殺したいほど愛されて [DVD]