題名 奥さまは魔女 (I Married a Witch)
監督 ルネ・クレール
出演 ヴェロニカ・レイク、フレデリック・マーチ、セシル・ケラウェイ
上映時間 77分
制作年 1942年
制作国 アメリカ
かなり昔、17世紀のアメリカ。魔女のジェニファーとその父親は、ジョナサン・ウーリーの密告によって火あぶりになり、灰になって地面に埋められ樫の木の下で封印されてしまう。
実際に二人は魔女なので灰になっても生きていて、ジョナサン・ウーリーを「子孫までずーーーっと、間違った結婚相手と結婚するはめになるよう」呪いをかける。その結果ウーリー家の男は代々女運が悪くて、なぜだかどうしても幸福になれない。
時は下って現代のウーリー家の嫡男ウォレスも、ろくでもないクソ女との結婚を控えていた。ん百年ぶりに偶然人間に戻れたジェニファーは、ウーリーを自分に惚れさせて振り回し、結婚も仕事も破滅させようと画策する。
ところがなかなか上手くいかず、仕方なく惚れ薬を飲ませようとするが、なんと自分が飲むはめになって逆にウーリーを好きになってしまう。
面白そう。これがあの有名なアメリカのTVドラマ『奥さまは魔女』シリーズの原点なのか。
とは言うものの、登場人物の名前も設定もストーリーも、何もかもが違うから、TV版のサマンサの代名詞である、顎を横に「くいくいくいっ」と動かす動きなどはまったくない。
どうやら「魔女を主役にする」というアイディアだけが受け継がれていったらしい。
実際日本でも『魔法使いサリー』とか『ひみつのアッコちゃん』『魔女っ子メグ』『ミンキーモモ』『セーラー・ムーン』『おジャ魔女どれみ』へと、このアイディアはアニメ作品に延々引き継がれている。
魔女役の女優ヴェロニカ・レイクは動くところを初めて見たけど、文句なく美人だし、魔女なせいかちょっと我儘でやんちゃなところも可愛い。作品がコメディなので、よりチャーミングさが引き立ってた。
・・・まあ・・・べらぼうに小柄なのかな? 引きの絵で見ると、ちとチンケな女に見えなくもないが、それでも十分チャーミングであった。日本人が好きそうな女の子。
このジェニファーと父親は、前半は姿が出てこない。二人は火あぶりになって灰になるんだけど、魔女だから灰になっても生きていて、埋められた木の下で延々と何百年も親子で「ああだのこうだの」喋ってる笑 だから声だけの登場。その喋ってる内容もほとんど愚痴で、「あいつをぜったいに不幸にしてやるわ」みたいなことばっかり。
その後ひょんなことで動き回れるようになるけれど、その時は「煙」で、そのあと姿かたちを手に入れる。
そしてこの二人の”復讐”というのが「呪い殺す」とかいうホラーなものじゃなくて、「嫌な女と結婚させる」という、絶妙に微妙な選択なのがいい。
もちろん大変不幸なことには違いないのだけど、でもやっぱり復讐としてはふわっとしてるというか、のんきな感じがする。
だって自分は火あぶりにあって何百年も地面に埋められてるっていうのに、「あいつの結婚を不幸なものにしてやるわ!」だなんて、なんか女の子っぽくて可愛いな、なんて。
実際作品もコメディとしては穏やかで、やっぱりほっこり可愛い感じ。
魔女もののルーツに興味のある人や、ヴェロニカ・レイクのファンは見る価値があると思う。
ちなみにアマプラでは字幕版だけでなく吹替版もある。
両方見てみたけど、吹替版のラストに出てくるジェニファーとウーリーの娘の名前が、字幕版ではヴェロニカ・レイクは「ジェニファー」って呼んでるのに(自分と同じ名前)、吹替版では「サマンサ」と吹き替えられていて、TV版へ繋げる工夫をしているご様子。
これはやりすぎ。