ぱっとみ映画感想ブログ

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カリガリ博士(1919)感想

 

 

題名 カリガリ博士(Das Cabinet des Doktor Caligari)
監督 ローベルト・ヴィーネ
出演 コンラート・ファイト、ヴェルナー・クラウス
上映時間 48分
制作年 1919年
制作国 ドイツ

 

大正8年の作品。ドイツ表現主義映画といえばまずはこれ。演技も美術も、映画に描かれるものすべてが誇張されていて、過激で奇抜。

 

主人公フランシスは友人のアランと共にカーニバルへ行き、カリガリ博士の見世物小屋へ入る。そこでアランは、見世物になっている夢遊病者で予言者のチェザーレに死の宣告を受けたあと、何者かに殺されてしまう。フランシスはカリガリ博士がアランを殺したのではないかとにらみ、調査を開始する。

追跡の途中でチェザーレは死に、カリガリ博士は山の上にある精神病院へ逃亡する。そこでチェザーレの遺体と対面したカリガリ博士は取り乱し、拘束され独房に収容される。博士はこの病院の院長で、10世紀ごろの人物カリガリを模倣し、彼の悪行を再現していたことが発覚する。

すべての真相が明らかになり、事件に決着がついたかに思えたが、フランシスに思いもよらない結末が訪れる。

 

映画は、精神病院に入れられた恋人ジェーンの見舞いに来たフランシスの回想、という形で始まるけれど、すでに最後のどんでん返しを予感させる不穏な雰囲気を醸し出していて秀逸。最初から最後まで貫く不気味な空気もただの雰囲気づくりではなく、すべて「伏線」なのだった。

物語は 「現在→過去→現在」と時間が流れる構成で複雑だし、連続殺人の模倣犯が現れて捜査を混乱させたり、カリガリ博士自身が過去の人物の模倣犯だったりしてやっぱり複雑。説明不足になりがちなサイレント映画としては、めいっぱい入り組んだ作品になっている。

その上、一度見たら忘れられない美術セットがすばらしい。建物から扉、窓、壁など、あらゆるものが歪んでいてアートが炸裂。センスがブッ飛んでいる。この時代のドイツ映画は独創的で、見るべき作品が多い。

 

個人的には、役所の職員が向かう机と椅子がやたらと高いところがなぜだかカフカを思い出して、一番のお気に入り。

 

カリガリ博士(字幕版)

カリガリ博士(字幕版)

  • コンラート・ファイト
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