ぱっとみ映画感想ブログ

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悪魔スヴェンガリ(1931)感想

 

 

題名 悪魔スヴェンガリ(Svengali)
監督 アーチー・メイヨ
出演 ジョン・バリモア、マリアン・マーシュ、ブラムウェル・フレッチャー
上映時間 81分
制作年 1931年
制作国 アメリカ

 

ホラー分類されているかもしれないが、私はホラーではなく怪奇だと思った。ちょっとラスプーチンを思い起こさせたが、別にそういうわけではなさそう。

 

貧しい声楽講師のスヴェンガリは同時に催眠術師でもあって、そのレベルは金づるの女を口封じに自殺させることが出来るほど。

ある日、売れない画家が集まるアパートに、若くて美しいモデルのトリルビーが現れる。トリルビーはビリーと恋仲になるが、スヴェンガリが催眠術で我が物にし、オペラ歌手としてデビューさせ大成功する。しかしビリーが真相に気が付き、彼女を取り戻そうとスヴェンガリを追い詰める。愛するビリーが目の前に現れ、トリルビーの催眠術が解けるかと思いきや、スヴェンガリの催眠術の方が上だった。

 

良かったよ。面白かったし、結末が “アン・ハッピー・エンド” なのも良い。だから伏線が生きてないのが、すごくもったいなかった。

 

トリルビーの頭痛を催眠術で直したら、彼女の痛みが自分に移ってきたかのような描写があって、その後もスヴェンガリはしょっちゅう心臓を苦しそうに押さえている。本当に病気なのだと思うけど、演出が謙虚すぎてその設定が生きてこない。もっと強調すればいいのに。

まず、トリルビーの頭痛は深刻な病なのだともう少し強調しておこう。そしてスヴェンガリがトリルビーをちゃんと愛しているかのような描写はもっと前半から入れておこう。

とはいえしょせん催眠術で彼女をモノにしているだけだから、彼女の愛は本当の愛ではないことで自業自得的に苦しんでいる、そういうシーンを多めにしておこう。そうすればもっとスヴェンガリに対して感情移入できる。

その上でビリーが再び現れて、一見「やはり本物の愛は勝つ!」と思わせてからの、

「彼女の不治の病を私が肩代わりしていたのだ!私のおかげでトリルビーは生きているのだ!ビリー、お前そこんとこ分かってんのか!」とか言って、ビリー「そうだったのかー、僕はなんて無力で浅はかだったんだー」と大ショック、スヴェンガリは「ワーッハッハッハ!」とか高笑いしながら、悲しい勝利感の中死んでいく、、、とかだとわかりやすかったと思うんだけど。

 

残念。だってこのままじゃビリーは何にも知らないじゃん。

と、スヴェンガリ目線の私は思った。

 

主演はジョン・バリモア。死期を悟ったスヴェンガリがトリルビーを撫でているシーンでは、この古くて荒い画像でも目に涙が浮かんでいるのがよく分かってせつなかった。

ヒロインのトリルビーを演じたのは、とてもチャーミングで愛らしいマリアン・マーシュ。彼女を見ているだけで最後まで見ることができるくらい魅力ある女の子だった。