題名 私を野球につれてって(Take Me Out to the Ball Game)
監督 バスビー・バークレー
制作 アーサー・フリード
出演 ジーン・ケリー、フランク・シナトラ、エスター・ウィリアムズ、ジュールス・マンシン、ベティ・ギャレット
音楽 アドルフ・ドイチュ
上映時間 93分
制作年 1949年
制作会社 MGM
制作国 アメリカ
シーズン中はプロ野球選手で、シーズンオフは歌って踊るエンターテナーの二足のわらじを履くジーン・ケリーとフランク・シナトラが、いい年こいてはちゃめちゃに動き回る、爆笑に継ぐ爆笑という野球ミュージカル・コメディ。
初めから最後まで100%陽性のジーン・ケリーの独壇場。相変わらず大爆笑させてくれて、やはり名作。ジーン・ケリーを見ているだけで楽しい気持ちになる、彼らしい作品なのだ。
なのでエスター・ウィリアムズがどうとかいう作品ではないけれど、そういえばこの作品でもエスターはプールで泳いでいた気がする、と思い出したのでこの流れで取り上げた。
エスター推しの私としては、ジーン・ケリー&フランク・シナトラほどの大スターたちと共演するのが初めてのエスターが、ちゃんとやれてるのか心配。まるで新人アイドルを見守るドルヲタの心境。
だって撮影中、エスターはジーン・ケリーと上手くいっていなかったらしい。キャスティングも最初はジュディ・ガーランドだったけど、彼女の薬物乱用が問題になって、それでエスターになったんだとか。
これはキビシイ。ぽっと出の(は言い過ぎか)エスターが、”稀代のミュージカル・スター” ジーン・ケリーと、コンサートで女の子を気絶させるほどの ”超スーパー・スター” フランク・シナトラと共演するだけでも荷が重いのに、同じく ”稀代のミュージカル・スター” ジュディ・ガーランドの代役というのはほぼ修行。
それだけじゃなくて、ジュールス・マンシンとベティ・ギャレットという、叩き上げの職人みたいな芸人俳優にも囲まれちゃって、やっぱりポッと出の(は言い過ぎか)エスターにとってはほとんど苦行。
その上、主演するだけでなく、当然のように脚本にも参加し、振り付けをし、おそらくは監督にも相当口を出しているであろう、”王様” ジーン・ケリーに気に入られていないだなんて・・・もう地獄じゃん。
実際ラストのダンス・シーンなんて、エスターが出てきた途端、ほとんど誰も踊ってなかったもん。歩いてるだけ。ああ屈辱。やっぱり演出をエスターに合わせたのかなー(「踊っていない」と気づかせないのはジーン・ケリーのおかげ)。
ジュディ・ガーランドだったら、もっとちゃんと踊る場面になっていたのかもしれないと思うと、ジーン・ケリーのイラ立ちも分からなくはない。
でもそんなアウェーの中、持ち味の水泳シーンもほとんどないのに、ちゃんとキラキラとヒロインしてた。よくやったと思うよ。最後の方なんて笑顔が「やけくそ」に見えたもん(←これは気のせいかも)。
泳ぐシーンはほとんどなくて、あってもホテルのプールで泳ぐくらいだから、彼女の持ち味は発揮できていないけど、それでもちゃんとヒロイン役をこなしてたと思う。
なので個人的には、「頑張ってる感」が否めなかったフランク・シナトラの方をどう評価するかの方が問題。
ダンスでジーン・ケリーに並べるわけないとはいえ、「可愛い男キャラ」がハマりすぎててイマイチな感じでもあった。
というわけで、エスターは良かった、ジーン・ケリーはいつも通り陽キャ全開で大変良かった、シナトラのかわい子ちゃんぶりはちと気に入らなかった、という結論。