
映画『失われた航海(1979)』のデータ
題名 失われた航海(S.O.S. Titanic)
監督 ビリー・ヘール
脚本 ジェームズ・コスティガン
出演 デヴィッド・ジャンセン、ハリー・アンドリュース、クロリス・リーチマン、ヘレン・ミレン
上映時間 98分
制作年 1979年
制作国 イギリス・アメリカ合作
※ TV映画
映画『失われた航海(1979)』のあらすじ
1912年4月10日、イギリスのサウサンプトン港からニューヨークへ向けて出港する豪華客船タイタニック号。
船には裕福な上流階級の人々、より良い生活を求めてアメリカへ渡ろうとする移民、そして船を運航する多くの乗組員など、さまざまな立場の人々が乗り込んでいた。
彼らはそれぞれ希望や不安を胸に、大西洋横断の処女航海に旅立つ。 船内ではそれぞれの階級なりに、音楽や食事、社交を楽しみながら、当時「不沈船」とまで呼ばれたタイタニック号の安全を疑うことなく航海を続ける。
しかし、4月14日の夜、船は北大西洋の氷山地帯に差しかかり、ついに巨大な氷山と衝突。衝突直後は被害の深刻さが十分に理解されず、乗客たちは半信半疑のまま避難を開始。
やがて船が沈没の危機にあることが明らかになると、限られた救命ボートを巡って混乱が広がり、階級の違いによる避難の格差や、人々の勇気・自己犠牲・絶望などが浮き彫りになる。そしてタイタニック号は氷の海へと沈み、多くの命が失われる。
映画は、沈没までの緊迫した時間を通して、乗客と乗組員それぞれの運命や人間ドラマを描きながら、史上最大級の海難事故の悲劇をリアルに再現していく。
映画『失われた航海(1979)』の予告編
映画『失われた航海(1979)』の感想
タイタニック号が主題の映画では初のカラー作品なのだそう。でもTV映画だから豪華なスターは出てこないし、低予算だから「特撮!」っていう感じにもならない、かなり地味な作品。
この作品の売りは「事実と関係者の談話に基づいて作られた」「セミ・ドキュメンタリー」として制作されたこと。実際スミス船長や設計主任のトーマス・アンドリュース、タイタニックの管理をしていたホワイト・スター・ライン社の社長イズメイなど定番の人物たちも、かなり事実に即して描かれている。
特にタイタニック号沈没の経緯は、タイタニック目線だけでなく救助に向かう船側の視点で描いていてなかなか。さすがセミ・ドキュメンタリーを謳うだけはある。
特徴的なのは、他のタイタニック映画は「一等」客室と「三等」客室の乗客の待遇の違いをクローズアップしているのに対して、本作は「二等」客室の乗客にもスポットをあてていること。これが本作最大の売りで、その「二等」では意識高い系の大人男女の、めんどくさい恋のさや当てが描かれていた。
どう意識が高くて面倒くさいのかと言うと、ふたりは二等の乗客だけが使用することを許されたデッキで、下に三等の乗客を、上に一等の乗客を眺めながら、「一等、二等、三等と別れていて互いに行き来出来ないのは、階級社会であるイギリス社会の縮図なのか、それとも持っている金の多さで人間の格が決まるアメリカ社会の縮図なのか」を議論してた。そういう議論好きよ。楽しいよね。
そして『クイーン(2006)』や『コックと泥棒、その妻と愛人(1989)』などの名女優ヘレン・ミレンがメイド役で出ていたのは収穫だった。
まだこの頃30代。「若いということは美しいことなのだな」と思った。大きな役ではないけど、控えめかつ常識的な女性として登場し、アスター四世の幼な妻マデリンから服をもらう約束をしたり、沈没騒ぎのさなか救命胴衣を着ないで乗客優先に動いていたり、設計士トーマス・アンドリュースとの淡い恋というのか、心の通い合いみたいなものや、彼の最期の姿を目撃する役割を与えられていた。いい役だと思った。
ところでひっかかったのは、謎の美少女が登場すること。彼女、二等のデッキにいる教師ビーズレーをじっと見つめていたりして、やたらと意味ありげ登場するから「何かあるのかな?」と思わせて、最後まで何もない、という結末。あれ、なんだったの。
このDVDは98分作品なのだけど、元は二晩かけてTV放映された150分くらいある作品で、劇場公開時に大幅に編集されたらしい。50分もカットしたら、全然別作品になっちゃうんじゃないのかねえ。あの美少女が教師ビーズレーを意味ありげに見上げていたシーンなんかも、フルで観るとなんかあるんでしょうか。生徒だったりとかね。
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