ぱっとみ映画感想ブログ

1999年までの映画 特化型ブログです

世紀の女王(1944)

 


題名 世紀の女王(Bathing Beauty)
監督 ジョージ・シドニー
出演 エスター・ウィリアムズ、レッド・スケルトン、バジル・ラスボーン、ハリー・ジェイムス
音楽 ハリー・ジェイムス楽団、ザビエル・クガート楽団
上映時間 101分
制作年 1944年
制作会社 MGM
制作国 アメリカ

 

 

私の推しエスター・ウィリアムズが笑顔全開&カメラ目線で泳ぎまくる。最盛期のMGMスタジオが、歌って踊るミュージカルに飽き足らず、泳ぐ水中ミュージカルを編み出してしまった記念すべき作品。

 

映画の内容はいたって単純かつ安心のラブコメ。エスター扮する大学の先生と、レッド・スケルトン扮する人気作曲家のドタバタ恋愛騒動。

スケルトンはエスターと仲直りをするために彼女が働く「女子大」に「初の男子生徒」として潜入。すると当然そこの女子大生を巻き込んでドタバタバタドタして、最後はハッピー・エンドになるという映画。レッド・スケルトンが女子大へ潜入!といってもお色気映画にはならない。

 

そもそもレッド・スケルトンが好きじゃないし、途中のバレエのドタバタあたりが好みでなくて若干テンションが下がってしまったが、後半のエスターの水中レビューですっかり機嫌を直し、最後は拍手喝さいを送って気持ちよく見終えることができた。

 

見どころはなんと言ってもエスター・ウィリアムズの水中レビュー。カテゴリ的にはミュージカルなのだろうけど、主演のエスター・ウィリアムズは踊らない。なぜなら彼女はダンサーではなく、水泳選手だから。とにかく笑顔で泳ぐ泳ぐ。

エスターにとっては初主演で、初登場のシーンももちろんプール。出だしはしょぼいプールだけど、ラストはしっかり巨大プールで大勢の壁の花女優をバックに笑顔全開、カメラ目線バッチリで華やかに泳ぎまくる。

元々エスターは10代の時に世界記録を出すほど才能のある水泳選手で、1940年の東京オリンピック候補だったのに本人が辞退。で、水泳ショーに出ていたらMGMの目に留まって、スターの道を駆け上った。

オリンピックより水泳ショー。しっかりしてる。最初からスターダムを駆け上がる気満々な野心が察せられて頼もしい。おまけにエスターが蹴ったオリンピックは、第二次世界大戦のせいで中止になった東京オリンピックなんだから、エスター、持ってるわ。

 

あとは随所にしっかり流れるハリー・ジェイムス楽団のジャズ演奏も、じっくり「一曲フル」で演奏する豪華さ。先を急がずゆったり時間を使うあたりが実にゴージャス。今だったら「無駄に長い」とか言ってSNSで叩かれそうだし、若者には5倍速くらいで巻かれてしまいそう。現代人は何をそんなに急いでるんだろう。AIに挑戦でもしてんのか。それともなりたいんか。

 

それにしてもエスター・ウィリアムズのような存在に目を付けて、巨大プールを作って泳がせて大スターにしてしまおうとするなんて、40~50年代のハリウッドの勢いみたいなものが感じられてとても面白い。こういうことを大の大人が考えて平気でやっちゃうって、業界全体が調子に乗ってノリに乗っていないと出来ないよ。見てて元気になった。

 

 

世紀の女王(字幕版)

世紀の女王(字幕版)

  • エスター・ウィリアムズ
Amazon