ぱっとみ映画感想ブログ

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虹を掴む男(1946)

 

 

 

 

 

映画『虹を掴む男』のデータ

題名 虹を掴む男(The Secret Life of Walter Mitty)
監督 ノーマン・Z・マクロード
出演 ダニー・ケイ、ヴァージニア・メイヨ、ボリス・カーロフ、フェイ・ベインター
上映時間 110分
制作年 1947年
制作国 アメリカ

 

 

映画『虹を掴む男』のあらすじ

パルプ雑誌の校正者ウォルター・ミティは注意力散漫で夢見がち。母親から頼まれる買い物ひとつちゃんとできない。メモを渡され持って行っても毎回ひとつは間違えて、翌日返品を繰り返している。息子が心配な母親は過保護にやたらと干渉し、結婚相手まで連れてくる始末。職場では社長に良いように利用され、自分のアイディアを横取りされてばかりいる。

そんなダメな自分から逃避するように、ミティはすぐに空想の世界に逃げ込む。そこでは自分はいつも、誰もが仰ぎ見るヒーローだ。

今日もいつも通り母親の買い物メモと返品の品を持って出勤すると、電車の中で隣に座った見知らぬ美女ロザリンドに利用され、オランダ政府の隠し財宝を記した黒い手帳を手にしてしまったことで陰謀に巻き込まれ、命まで狙われることになる。

それでもミティは恋するロザリンドを救うために奮闘する。そして最後は恋も出世も信頼も勝ち得て大団円。

 

 

映画『虹を掴む男』の感想

ひと言で言うとファンタジー・サスペンスという感じ。

ミティが夢みる ”イケてる自分” というのは、ある時は天才的空軍パイロット、ある時はメカにも強い天才外科医、またある時は天才ギャンブラー、はたまた女性陣がうっとりするような指揮者という具合に、木村拓哉並みに職業が変われど、どれも周りに尊敬され、女性にはモテるイケメン・ヒーローな人物。

でも目が覚めれば、母親には過保護に守られ、つまらない女と結婚させられそうになり、会社では社長にどつかれアイディアを取られ、あっちにぶつかりこっちで転び、全く冴えない日々。

 

この「現実が辛ければ夢を見ればいい」という発想は分かる。

私も夢見がちというか、同じような空想癖がある。引っ込み思案のコミュ障気味で、友達を作るのも一苦労という少女時代を過ごしたせいか、かなり幼い頃から自分が特別な人間であるかのような空想をするようになった。

と言っても私の場合、想像の中の私にあたる人物は私ではなく、別の名前の別の人物。空想癖だけでなく変身願望もあるらしい。それもヒーロー願望が。

でも日常生活は支障なく生きてこられた。

 

だけどミティの空想壁は極端で、社長を前にして空想の世界に入り込むほど。そしてなかなか現実に戻ってこない。

本当はミティは仕事に関しては最初っからアイディアマンで有能なのに、母親の過保護が原因なのか、自分に自信がないせいで社長に甘く見られている。

ミティは自分でも自分をダメだと思って諦めていて、それでは自信など持てようはずもない。

でも、ロザリンドの為に奮闘していくうちに徐々に自信をつけて、社長相手に「僕のアイディアを盗むな!」と面と向かって言えるようになる。

すると社長は「見直したぞ!」みたいになって、ミティは出世するのだ。

 

「そんなの映画だから」とか「空想に逃げ込むなんてダメだ、現実と向き合わないと」と言う向きもあろう。

でも私はそういう真っ当な意見は聞きたくない。

私は「空想は現実の予行練習である」と思っている。あるいは「あるべきだ」と思っている。

ミティは予行練習的だった。そしてちゃんと現実に反映させた。

映画ではない現実でも、同じことが出来るはずだと、私は思う。