ぱっとみ映画感想ブログ

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雲の中の散歩(1942)

 

 

 

 

 

映画『雲の中の散歩(1942)』のデータ

題名 雲の中の散歩(Quattro passi fra le nuvole)
監督 アレッサンドロ・ブラセッティ
出演 ジーノ・チェルヴィ、アドリアナ・ベネッティ
上映時間 95分
制作年 1942年
制作国 イタリア

 

 

映画『雲の中の散歩(1942)』のあらすじ

イタリア中を歩き回り、キャンディーやチョコレートのセールスをしているしがない販売員のパオロ。妻と幼い子供がいるが、口うるさい妻でいつもガミガミ文句を言われている。今朝もやれ目覚ましがうるさい、やれ足音がうるさいと妻からまくしたてられ、イライラしながら仕事に向かう。

列車に乗れば満員電車で、席を取るのも一苦労。いつも電車で一緒になる知り合いが席を取っていてくれて、パオロはなんとか席を確保する。そこで出会った若い女性マリアの窮地を救ったことがきっかけで、マリアの夫のふりをしてマリアの実家に行くことになってしまう。

パオロは困惑しつつもマリアの実家に到着。そこはマリアの祖父、父、母、兄などが暮らす田舎の農場だった。パオロはマリアの為に嘘に付き合い、マリアの家族と一晩を過ごす。

 

 

映画『雲の中の散歩(1942)』の予告編

www.youtube.com

 

 

映画『雲の中の散歩(1942)』の感想

見るまで知らなかったが、あのキアヌ・リーヴスの『雲の中で散歩(1995)』の元映画らしい。キアヌ版は見ていない。

捨てられた恋人の子を宿したマリアに、夫のふりを頼まれた既婚男性パオロの困惑の一夜を描いた作品で、地味ながらほっこりする佳作。映画のスケールは小品という感じ。

コメディという触れ込みだけど全然コメディ・タッチではなく、若干のユーモアは感じられるけれど、爆笑とかいう作品では全然ない。人と人の交流を描いた人間ドラマだった。

 

主人公のパオロはまるで現代の男の人みたいな目にあっていて、朝早く起きて出勤しようと頑張ってるのに、まず目覚ましが鳴ることで「近所に迷惑」だの「早く消せ」だのと妻はガミガミ文句を言う。

「自分で牛乳を温めろ」と言うのでパオロは玄関先に届いた牛乳を取りに行って、それをガスにかけようとするのだけれど、鍋の蓋がどこにあるのか分からなくて妻に聞いただけなのに、またガミガミいわれる。

仕事で使う商品サンプルの鞄の場所を聞いただけでガミガミ。

とにかくガミガミガミガミ。

別に上げ膳据え膳で扱えって言ってるんじゃないのよ。ただ「毎日仕事ご苦労さま」テードのことが言えないのかと。

私だったら耐えられない生活。

そしてパオロは満員電車で遠方まで、チョコレートの営業に向かうのだ。

 

そこで知り合った若い女性。目の覚めるような美人ではないけれど、十分可愛らしいルックス。優しそうで気立てもよさそう。パオロの妻みたいな気の強さは感じられない。

そしてパオロは俄然! 彼女に恋をして、彼女の結婚相手の振りをしているうちに、お互いの中に愛情が芽生えて真実の愛と、お互いを思いやる愛情あふれる生活を手に入れましたとさ、

とはならない。全然ならない。

ならないけれど、イタリアの田舎の農場で一晩を過ごしたパオロやマリア、マリアの家族たちは、全員がなんらかの心境の変化を得て、全員にプラスになる結末になる。

 

このパオロ役のジーノ・チェルヴィが良かった。

パオロは他のイタリア人と比べると静かで寡黙な感じで、不器用そうで優しくて善良。優しいので周りに流されつつも、肝の部分はしっかりしてる、そんな感じの男。

ジーノ・チェルヴィのルックスも、イケメンじゃなくて丸まっちい感じで好ましい。安心感がある。知的な感じもするし、頼りがいもありそう。

映画自体は地味な作品なのだけど、このジーノ・チェルヴィの魅力で引っ張っている感じがする。

 

しかし驚いたのだけれど、映画で一番、目と耳を引くのは、前半のイタリア人のやかましさ。

出だしのパオロの妻に始まり、電車の中の乗客、乗り換えたバスの車掌から客まで、その騒々しさを見れば、そりゃマリアも具合が悪くなりまさあねえ、という気持ちになる。上に貼った予告編までがやかましい。

イタリア人って、こんなに騒々しいのか。つらい。

主人公のパオロは全然騒々しくないから全イタリア人がやかましい訳ではなさそうだけど、この環境は私にはつらい。パオロが静かでよかった。

 

 

雲の中の散歩(字幕版)

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