ぱっとみ映画感想ブログ

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奇妙な扉(1951)

 

 

 

 

 

映画『奇妙な扉』のデータ

題名 奇妙な扉 (THE STRANGE DOOR)
監督 ジョセフ・ペヴニー
原作 ロバート・ルイス・スティーブンソン 「マレトロア邸の扉」
出演 チャールズ・ロートン、ボリス・カーロフ、リチャード・ステイプリー、サリー・フォレスト
上映時間 81分
制作年 1951年 
制作国 アメリカ

 

 

映画『奇妙な扉』の登場人物

デニス(リチャード・ステイプリー)・・・イケメンで女たらしの悪ぶった不良。
ドゥマレトロワ卿(チャールズ・ロートン)・・・館の党首で貴族。偏執狂のサイコパス野郎。
ブランシュ(サリー・フォレスト)・・・ドゥマレトロワ卿の姪。可哀そうな子。
ヴァルタン(ボルス・カーロフ)・・・ドゥマレトロワ卿の下僕。忠実なふりをしている。

 

 

映画『奇妙な扉』のあらすじ

酒も女も博打も喧嘩もやる放蕩息子のデニスは、ある晩酒場で喧嘩になり、相手の男を殺してしまう。逃亡する際中、闇の中にそびえる屋敷に行きつき、扉を開け中に逃げ込む。するとその扉は中からは開けられず、デニスは屋敷に閉じ込められてしまう。

中には太った貴族ドゥマレトロワ卿が待ち構えていた。ドゥマレトロワ卿はデニスに姪のブランシェとの結婚を強要する。

見も知らぬ女と結婚する気などさらさらないデニスだったが、当のブランシェが若くて美人だったことや、ブランシェには貴族で善良な申し分ない恋人がいるのに自分のようなならず者と結婚させようとしていることなどに興味を持ち、屋敷にとどまることにする。

多くの仕掛けが施された邸、忠実で悪徳な共犯者たち、裏のありそうな下僕ヴァルタン、地下牢に捕らわれたドゥマレトロワ卿の兄などが絡み、やがてドゥマレトロワ卿の狂気の企みが明らかにされていく。

 

 

映画『奇妙な扉』の感想

さすが原作がスティーヴンソン。面白かった。スティーヴンソンとかエドガー・アラン・ポーなど19世紀の、幻想的で怪奇な世界観が好きな人は絶対楽しめると思う。現代にあってはベタと言えばベタだけど、むしろそれがいい。

今回はほとんどの場面が邸の中。と言っても巨大な邸だから、地下室はあるわ地下牢はあるわ、のぞき穴に隠し部屋に隠し扉、仕掛け扉、処刑のための仕掛け、地下室には中世の甲冑が並んでいて、幻想小説ファンにはたまらない設定。

 

ドゥマレトロワ卿を演じたのは名優チャールズ・ロートン。チャールズ・ロートンは 『ノートルダムの傴僂男(1939)』 のカジモド役が名高い。もちろんカジモドも素晴らしく良かったけど、今回のドゥマレトロワ卿も面白い役だった。

ドゥマレトロワ卿は、昔美しい女に恋をして、彼女の方も自分に気があると思っていたのに、なんと自分の兄貴と結婚される仕打ちを受ける。もてあそばれていたのかもしれない。それで復讐したくって仕方がないのだけれど彼女はもう死んでいて、じゃあその娘の方に復讐しようと倒錯する。

でも娘は母親似だから気持ちは分からなくもない。

それでその復讐というのが、殺すとか痛めつけるとか財産を奪うとか、よくあるやり方ではなく、“悪人と結婚させて不幸にし、それを眺めて暮らす” という、なかなかネチッコイ、粘着質な復讐を考える。

もちろん復讐以外にも日常から嫌な奴で、たらふく食べてぼってりと太り、体だけでなく顔つきもぽちゃぽちゃ丸っこい顔で、ほんと贅沢に退廃してる。ローマ貴族とか似合いそう。

チャールズ・ロートンはそんなドゥマレトロワ卿を実に楽しそうに生き生きと演じていて、名声に違わぬ名優だと思った。

 

対して色男のデニスを演じたのがリチャード・ステイプリー。実際にイケメンで、悪ぶってるけど結局は中身もイケメンという役だった。

でもこのリチャード・ステイプリー、情報がまるでないので書くことが何もない。イケメンだけどスターにはなれなかったのかな。

 

そしてもう一人、下僕ヴァルタンを演じたのが、フランケンシュタイン役で知られる怪奇俳優ボリス・カーロフ。大きな目がぎょろっとしていて特徴的。

私は彼のフランケンシュタイン映画を見たことがないけれど、今作を見た限りでは存在感があるし、普通の俳優としてもやっていけそう。そこがドラキュラ・スター、ベラ・ルゴシとは違う。

 

総じて良かったけれど、やっぱり19世紀の幻想的な雰囲気と、ドゥマレトロワ卿を演じたチャールズ・ロートンの独壇場が最大の魅力だと思う。

 

 

奇妙な扉(字幕版)

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