映画『大空港』のデータ
題名 大空港(Airport)
監督 ジョージ・シートン
原作 アーサー・ヘイリー「大空港」
脚本 ジョージ・シートン
出演 バート・ランカスター、ディーン・マーティン、ジーン・セバーグ、ジャクリーン・ビセット、ジョージ・ケネディ、ヘレン・ヘイズ、モーリン・ステイプルトン
上映時間 131分
制作年 1970年
制作国 アメリカ
アカデミー賞 助演女優賞(ヘレン・ヘイズ)
映画『大空港』のあらすじ
リンカーン空港では大雪の為、飛行機の離着陸ができず、待たされる乗客や職員のストレスが高まっていた。その上、騒音反対デモは起こるし、密航者は出るし、密輸しようとする客もいるし、職員のプライベートの問題まで抱えて空港はてんてこ舞い。おまけに大雪の中離陸した飛行機には、爆弾を抱えた乗客が乗っていた。
その爆弾が機内で爆発。クルーや管制塔スタッフが、被害を最小限に抑えようと奮闘する。
映画『大空港』の予告編
映画『大空港』の感想
いわゆるパニック映画のハシリの作品。
この映画のヒットの後、『ポセイドン・アドベンチャー(1272)』とか『タワーリング・インフェルノ(1974)』などのパニック映画が続々と作られ、『ツイスター(1996)』とか『デイ・アフター・トゥモロー(2004)』などを経て現在に至る。
とはいえ、よくある「ワー」とか「キャー」とかではない、人間ドラマが主題のパニック映画。脚本が素晴らしくて何度見ても面白い。
俳優陣も70年代の大スターがたくさん出ていて、バート・ランカスター、ディーン・マーティン、ジョージ・ケネディ、ジャクリーン・ビセット、ジーン・セバーグという豪華な面々。これがみんな良かった。
バート・ランカスターはさすが獅子の風格があって説得力抜群。
ディーン・マーティンは60歳くらいに見えるいい年なのに、「人生で初めて責任感に目覚める」みたいなイノセントぶりを発揮して、馬鹿っぽくて恥ずかしくて笑える。
そしてヒロインはジャクリーン・ビセット。今回の役は髪型が似合っていなくって、本来の美しさが半減されてるのが惜しいけど、私が世界一美しいと思っている女性の一人。彼女の映画はかなりの確率で「くっそ面白くない映画」なのだけど、この映画は大変面白い。
それからランカスターの愛人役がジーン・セバーグ。えらく地味な感じになっていて、いい役柄だった。
この『大空港』の見どころは、その大スターたちが演ずる登場人物たちが、大惨事を最小限の被害で納めようと奮闘する姿と、彼らの人間模様を描く人間ドラマになっているところ。
アカデミー脚色賞はノミネート止まりだったけど、個人的には受賞してほしかった。
何といっても、困難な状況下で、プロフェッショナルな人たちが、みなそれぞれの持ち場で全力をつくしている姿が感動的。責任感の強い彼らの姿はとても気持ちがいい。有能であるって清々しいことなんだと思う。
中でも特筆すべきはベテラン整備士役のジョージ・ケネディ。タフでパワフル、腕っ節の強そうなガテン系、粗野だけど頼りがいがある感じで、男前じゃないけど格好いい。
葉巻をずっとくわえていて、最後の見せ場では力が入るあまり、葉巻を一本ぐちゃぐちゃにしちゃったりして。そして古女房をめちゃくちゃ大事にしている感じがすごく良かった。
空港職員以外もいい味出してる。
ヘレン・ヘイズ演ずる、齢70にして悪びれもせず密航を繰り返す婆さん。大昔に観た時は、「なんて憎めなくてチャーミングな婆さんだろう」と思ったけど、今回は憎めた笑。
くったくなさすぎだし、かわい子ぶってるし、世間をナメてる。彼女はこの役で、アカデミー助演女優賞を取った。
そして病気がきっかけで仕事が長続きしない男ゲレロと、そんな夫を励ますゲレロ夫人。これが愛情深い、いい女なんだなあー。慈悲深くて、ダメな男を捨てられない。最後のシーンなんて、ほんと胸に迫ってくる。
このゲレロ夫人を演じたモーリン・ステイプルトンも、アカデミー助演女優賞にノミネートされた。
それにしてもゲレロ、他の方法はなかったのかなあ、馬鹿なゲレロ。ほんとに残念。