
映画『ミスター・アーサー(1981)』のデータ
題名 ミスター・アーサー(arthur)
監督 スティーヴ・ゴードン
出演 ダドリー・ムーア、ライザ・ミネリ、ジョン・ギールグッド
上映時間 97分
制作年 1981年
制作国 アメリカ
主題歌 クリストファー・クロス「ニューヨーク・シティ・セレナーデ」
アカデミー賞 助演男優賞(ジョン・ギールグッド)、歌曲賞(「ニューヨーク・シティ・セレナーデ」)
映画『ミスター・アーサー(1981)』のあらすじ
ニューヨークの大富豪のダメ息子、アーサー。金はあるし、やることがないアーサーは毎晩飲んだくれては運転手付きのリムジンで娼婦をひっかけ家に連れ込むなど、自由気ままに遊び惚けていた。
しかしそんなアーサーにも思い通りにならないことがある。それは父親から結婚相手をゴリ押しされており、その女性と結婚しなければ遺産は相続させないと脅されていることだ。相手のスーザンを全く愛していないアーサーは断り続けるも、父親は聞く耳を持たない。
そんなある日、アーサーは高級紳士服店でシャツを何ダースも爆買いしている最中、大胆にもネクタイを万引きした女と知り合う。女の名はリンダ。どうやら彼女は、無職でくすぶっている父親のためにネクタイを盗んだらしい。
一風変わったリンダを気に入ったアーサーは彼女とデートを重ねるうち、心からリンダを愛するようになる。しかしスーザンと結婚しなければ無一文になってしまう。
スーザンと彼女の父親からの圧力、リンダへの気持ち、財産の間で揺れ動くアーサーの決断やいかに。
映画『ミスター・アーサー(1981)』の場面集
映画『ミスター・アーサー(1981)』の感想
1981年の全米興行収入年間4位の大ヒット作。オスカーにも色々ノミネートされたけれど、ゴールデングローブ賞の最優秀作品賞の方をゲットした。
私も大好き作品なのに、日本では特にヒットしなかった。
なぜだ。
私が思うに、
主演のダドリー・ムーアとライザ・ミネリが日本ではさほどスターではなかったこと
ダドリー・ムーアが酔っぱらってばかりいること
ライザ・ミネリの魅力が分かりにくいこと
ギャグの好み
この辺りが影響しているように思われる。
実際私もダドリー・ムーアちょっとが酔っぱらいすぎだなあとか、ライザ・ミネリじゃなかったらなあ、と思わないわけではない。
思わないわけではないけれど、それを補って余りある魅力がこの作品にはあると思う。
まずダドリー・ムーア演ずるアーサーは、確かに酔っぱらってばかりいるのだけれど、ちゃんと見るとヒロインのリンダと一緒にいるときは全然酔っぱらっていない。
アーサーは大金持ちのボンボンに生まれて何一つ不自由ない暮らしをしているかと思いきや、実は全く幸せではなく、特に好きでもない女との結婚を強いられているが為に自棄になって飲んでばかりいる。
ところがリンダと出会った途端に恋に落ち、すると彼女といるときは全く飲もうという気すらしないという感じ。
一見ダメ男のように見えるけど、実はそうじゃない、心の優しい大金持ちなのだ。
そして何より、アーサーとその執事ホブソンの関係が本当に素晴らしくて、この二人のシーンはすべてが感動的で、美しくすらある。
まず、ホブソンを演じたジョン・ギールグッド自身がすばらしく美しい。彼は年寄だから、見た目が美しいとかじゃなくて、佇まいが美しいの。
彼の、アーサーを見つめる目や姿勢が愛情深くて、あんなに飲んだくれのアーサーなのに、いつも優しく温かく忍耐強く、時には厳しく見守り続けているの。必要とあらばご主人様であるアーサーのほっぺたをパンパン!とビンタも辞さないの。
子供の頃からだろうから、きっと何十年も見守り続けているの。
それから自分の死すらユーモアでくるんで、深刻ぶらないようにアーサーを優しく守るんだよね。
そしてアーサーの方も、いつも迷惑ばかりかけているけれど、ホブソンに対して無限の信頼を寄せているのが分かる。もう親子の関係を越えているの。
ふたりのラスト、ホブソンが入院してしまい、その病室をアーサーがお見舞いに訪れるシーンが本当に素晴らしい。
アーサーはお見舞いの品を山ほど買ってくるんだけど、全部自分の趣味の物ばかりで、ホブソンの趣味と全然違うの。だけどホブソンはそんなアーサーに合わせてくれる。
するとアーサーは病院の病室を思いっきり改造してしまうのだけれど、この改造の仕方が信じられないくらい愛情深くて、素晴らしかった。心が熱くなる。
もちろん富豪だから成せる業なんだけど、そのアーサーの愛情がいっぱい詰まっていて、私は心打たれるんだよね。
いい映画だと思うなあ。
80年代のNYの雰囲気も好きだし、当時大ヒットしたクリストファー・クロスの主題歌「ニューヨーク・シティ・セレナーデ」は言うまでもなく美しいし。
私も10代前半から聞き続けているけど全く飽きない超名曲。これがオープニングでもエンディングでも流れて実に郷愁を誘う。
↓ クリストファー・クロスの主題歌「ニューヨーク・シティ・セレナーデ」MV
やっぱり素晴らしい映画だと思うなあ。
なのに日本ではDVDにすらなっていない。VHSでは発売歴があるみたいだけれど、DVDにはなった気配すらない。
発売してくれたら買うんだけど。
あと、確信はないので大きな声では言えないし、言っても共感してもらえないと思うけど、私は内心密かにこの作品をもしかすると『卒業(1967)』へのアンサー映画なのではないかと思っている。
別の言い方をすれば『卒業』の「やり直し映画」なのかもしれないと。
あっちのベンジャミンは幸せになれる気がしないけど、こっちのアーサーはちゃんと幸せになれる気がして、私も「よかったね」と素直に思えるんだよね。
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