
映画『タイタニックの最期(1953)』のデータ
題名 タイタニックの最期(Titanic)
監督 ジーン・ネグレスコ
出演 クリフトン・ウェッブ、バーバラ・スタンウィック、ロバート・ワグナー、セルマ・リッター
上映時間 98分
制作年 1953年
制作国 アメリカ
アカデミー賞 脚本賞
映画『タイタニックの最期(1953)』のあらすじ
主人公スタージェスはヨーロッパの上流階級の男。妻はアメリカ人で、娘と息子がいる。夫婦仲は冷めきっていて、妻は二人の子供を連れて、生まれ故郷のアメリカへ渡ろうと、タイタニック号に乗船していた。
スタージェスは三人を追ってタイタニック号に乗ろうとするが、チケットがなくて乗船できない。そこで金に物を言わせて、スペイン系の労働者から強引にチケットを購入し、なんとか乗船する。
家族と合流したスタージェスは妻と話し合うが、子育ての方針で衝突。ヨーロッパの上流階級で育てたいスタージェスに対して、妻は生まれ故郷のアメリカで育てると言って譲らない。
豪華で華やかな船内では上流社会の人々が優雅に過ごす一方、夫婦の間には緊張が続き、子どもたちも両親の対立に揺れ動く。
そんな航海の中、リチャードは自分のこれまでの態度を振り返り始め、家族との関係を取り戻そうとする兆しを見せる。
しかし運命の時が訪れる。タイタニック号が氷山に衝突。巨大な船は次第に沈み始め、船内は混乱と恐怖に包まれてしまう。救命ボートは限られており、乗客たちは「女性と子ども優先」という原則のもとで避難していく。
スタージェスはこの非常事態の中で、家族を守るための決断を下す。沈みゆく船の中で、二人は最後に互いの気持ちを確かめ合い、子どもたちを救おうとする。
壮大な海難事故の中で、失われかけていた家族の絆が浮かび上がり、物語はクライマックスへ向かっていく。
映画『タイタニックの最期(1953)』の予告編
映画『タイタニックの最期(1953)』の感想
ガキのラブ・ストーリー仕立てのキャメロン版に対して、こちらは夫婦のドラマが中心の ”大人のタイタニック”。素晴らしい映画。私はストーリー面では、キャメロン版よりこちらの方が断然好み。
ヨーロッパの上流階級に属するスタージェスとアメリカ育ちでリベラルな妻の身分の違いや文化的な違い、そこからくる子育て方針の違い、はたまた若者である子供達との世代間ギャップなど、悩みの内容も大人向け。
もちろんスタージェスの娘とアメリカのスポーツ大学生の恋なども描かれるけれど、そっちは刺身のつま程度の存在。
総じて子供の観客を全然想定していない作りになっているところが好感。
特に主人公スタージェスの人物像がいい。頑固で傲慢な上流階級の男として登場するが、ラストに向けてグイグイ男を上げていく。
スタージェスは避暑地から避暑地へヨーロッパ中を渡ってホテル暮らしをしていて、そういう生活に自信と満足を感じている。華やかな、貴族的な、資産階級の男だ。妻に対して自分から歩み寄る気など全くない。なかなかに高慢ちきな男。
ところがタイタニック号が氷山にぶつかって、家族の生命の危機と悟ったとたん、すぐに覚悟を決めて、一瞬の迷いもなく動き始める。
まずは自分の家族3人の救助の段取りをつけると、踵を返して3等客室に向かい、自分にチケットを譲ってくれたスペイン系の家族を救いに行く。
その即断ぶりに感激。かっこいい。支配者層に属する男の責任と美学を感じた。
そしてその後、「僕も男だから」という理由で救命ボートを降りてしまった息子ノーマンとの絆。感動で涙がにじむ。
何度見ても素晴らしくて、アカデミー脚本賞を取ったらしいけど、納得。

