映画『オズの魔法使(1939)』のデータ
監督 ヴィクター・フレミング
原作 ライマン・フランク・ボーム「オズの魔法使い」
出演 ジュディ・ガーランド、レイ・ボルジャー、ジャック・ヘイリー、バート・ラー、フランク・モーガン、ビリー・バーク
上映時間 101分
制作年 1939年
制作会社 MGM
制作国 アメリカ
映画『オズの魔法使(1939)』のあらすじ
農場暮らしのドロシーは、叔父さん叔母さん、使用人たちに愛されながら生活していた。でも地主のガルチさんは意地悪で飼い犬のトトをいじめてくるし、時々は寂しい気持ちになったりもする。
そんなある日、竜巻が襲ってきて家ごと吹き飛ばされたドロシーが到着したのは、総天然色の魔法の国だった。
ドロシーは家への帰り方を聞くために、途中で出会った案山子男、ブリキ男、ライオンの3人と、願いをかなえてくれる魔法使いオズに会うためエメラルドの国へ向けて旅をはじめる。
映画『オズの魔法使(1939)』の予告編
映画『オズの魔法使(1939)』の感想
40年代を代表する大スター、ジュディ・ガーランドの大出世作で、不朽の名作。
現実の世界は「セピア色」、魔法の国は「カラー」で撮影されている。魔法の国に到着し、セピア色のドロシーがドアを開けると、そこには総天然色の世界が広がる。
久しぶりに見返したけど、マンチキンたちと一緒に黄色いレンガの道を行くシーンでは涙が出た。あんまり素晴らしかったもんだから・・・。
総天然色のセットも、ドロシーがスキップしながら行くイエロー・ブリック・ロードも、名曲「Follow The Yellow Brick Road」も、数パターンのスキップだけの振り付けも、何もかもが素晴らしくて、ただただ胸が熱くなる。
アメリカ人でもなく、当時生きていたわけでもない私なのに、この映画を見ると胸が熱くなる。私なんて全然関係ないのに、古き良きアメリカ、無敵のアメリカのノスタルジーを感じて感激するって、一体なんなんだろ。
そして全編を流れるミュージカル・ナンバーも傑作ぞろい。
おまけに特撮も凄くて、途中で出てくる竜巻のリアルさは必見。どうやって撮影しているのかまるで分からない。
テーマ的なこともひとつ。
映画のラストで魔法使いのオズが、案山子男には卒業証書を、ライオンには勲章を、ブリキ男には機械仕掛けのハートの時計を渡していたのは示唆に富んでいると思う。私はこれは「人間は揺らぐ生き物だ」という前提で書かれたシーンなのだと思っている。
ドロシーは家に帰りたいだけだけど、他の3人は「自分には足りないものがある」と思ってる。案山子男は「脳みそ」が、ブリキ男は「心」が、ライオンは「勇気」が足りない、と。
でもそれは自分で思い込んでいるだけだった。実際は賢いし、繊細だし、勇敢で、みんな自信が持てなかっただけ。
でもそう言うのは簡単だけど、自信なんてすぐには持てないし、持てたと思ってもちょっとしたことで揺らいでしまう。
・・・みんなが「頭いいね」「優しいね」「勇敢だね」ってしょっちゅう褒めてくれれば揺らがないかも。
でも大抵は言ってもらえない。
だからオズは言葉だけじゃなく、トロフィーも渡した。目に見えて触れる “物” を。
「言葉だけじゃ揺らぐ」けど、目の前に証拠があれば、ずっと信じることができるでしょ、と。確信が持てるでしょと。
このラストはそういうことなんだと思ってる。
まあ、、、個人的にはトロフィーや賞状を部屋に置いて、過去の栄光を撫でまわすなんて好みじゃないけど、でも心の支えはひとつくらいあったっていい、とも思う。
ところで、監督のヴィクター・フレミングは同じ年に『風と共に去りぬ』を制作・公開している。