映画『タイム・マシン(1960)』のデータ
監督 ジョージ・パル
制作 ジョージ・パル
原作 H・G・ウェルズ 「タイム・マシン」(1895)
出演 ロッド・テイラー、アラン・ヤング、イヴェット・ミミュー
上映時間 102分
制作年 1960年
制作会社 MGM
制作国 アメリカ
映画『タイム・マシン(1960)』のあらすじ
発明家のジョージは自ら発明したタイム・マシンで未来へと旅立つ。すると遥か80万年後の人類はイーロイとモーロックという二種族に分かれ、それぞれ地上と地下とで棲み分けていた。人類の変わり果てた様に愕然とするジョージ。一旦現代に戻り、もう一度80万年後へと旅立つ。
映画『タイム・マシン(1960)』の予告編
映画『タイム・マシン(1960)』の感想
引用:「慌てなくていい 世界中の時間が君の物だ」 親友フィルビーのセリフ
超有名なSF作家、H・G・ウェルズの小説『タイム・マシン』の映画化。
冒頭出てくるミニチュア・タイムマシンに、いやいやそれ作る方が大変じゃね、と思うのはご愛敬。
古き良き19世紀末のアメリカ風俗と、極めて美しいタイム・マシンの造形、“時が飛んでいく特撮の豊富なアイディア、そして人類が存在する意義について考えさせられる、タイムトラベル映画の傑作。
映画界に大きな影響を与えたパペット・アニメーションと超低速撮影。ろうそくがみるみる縮んでいったり、太陽がぐるぐる昇ったり沈んだり、マネキンの着ている服が次々変わっていったり、花が咲いたり散ったり実がなったり、時間が高速で進んでいることを表すアイディアがいっぱい。
ドラえもんやキテレツくんが持ってるやつとはわけが違う、史上最も美しいタイム・マシンと言われているビクトリア朝デザインのタイム・マシンの造形も見どころ。
色々考えさせられる作品だけど、テーマのひとつは「人類は学ばなきゃダメだよ」ということだと思う。知性を持って生まれてきたものの責任。
夜空を眺めて星が輝いていれば、人はそれを「美しい」と思う。そしてそれを ”宇宙” と名付けることができる。それが認識するということだと思う。逆に言えば人類がいなければ、この宇宙はないのと一緒だ。
だからこそ、感じたことを刻み、真実を求め、周囲や未来に伝えていく義務がある。それが人類に生まれた私たちの使命、責任なのだと思う。
なのに美しきイーロイたちはすべてをドブに捨ててしまっていた。人類の未来は暗い。
それでも映画のラストは遥かな未来に希望をつなぐ終わり方で好感。原作と同じといえば同じだけど、ジョージが本を持って消えてしまうということで、映画の方がハッキリと分かりやすくなっていて良かった。
それから個人的には、主人公ジョージの家の家政婦の存在も好きなところのひとつ。
ところで頭が空っぽな美しきヒロイン、ウィーナ。彼女みたいに純粋無垢でおばかちゃんな女は、現実にはいない。
だけど彼女を演じたイヴェット・ミミューは本当に頭が空っぽに見える。演技なのか、はたまた素なのか。他の作品を見られれば分かるのかもしれないが、彼女はあまり有名作には出ていない。
ミミューなあ。この無垢ぶりが演技だとしたら大したもんだと思う。