
- 映画『ミニミニ大作戦(1969)』のデータ
- 映画『ミニミニ大作戦(1969)』のあらすじ
- 映画『ミニミニ大作戦(1969)』の予告編
- 映画『ミニミニ大作戦(1969)』の感想
- 主題歌『The Self Preservation Society』
映画『ミニミニ大作戦(1969)』のデータ
題名 ミニミニ大作戦(The Italian Job)
監督 ピーター・コリンソン
出演 マイケル・ケイン、ノエル・カワード、マーガレット・ブライ、ベニー・ヒル
音楽 クインシー・ジョーンズ
上映時間 99分
制作年 1969年
制作国 イギリス
映画『ミニミニ大作戦(1969)』のあらすじ
イギリスの泥棒チャーリーは刑務所から出所したばかり。なのに早速、イタリア・トリノで金塊を盗む、大規模な強盗作戦を実行しようとする。ターゲットは中国との取引でイタリアに持ち込まれる400万ドル相当の金塊だ。
この計画を成功させるため、チャーリーは一流の仲間たちを集める。 作戦の要はミニ・クーパー3台を使って金塊を盗み出し、狭い路地や地下道を縦横無尽に走り抜けるという大胆な逃走劇だ。
果たしてチャーリーらは、イタリア警察の追跡をかわしながら無事に金を持ち帰ることができるのか?
映画『ミニミニ大作戦(1969)』の予告編
映画『ミニミニ大作戦(1969)』の感想
実にテキトーな映画である。
2003年にはマーク・ウォルバーグ主演でリメイクもされていて、そっちは金庫破りとかもあって面白かったけど、私はオリジナルの方がずっと好き。
原題は「The Italian Job」。直訳すれば「イタリア人の仕事」。だけど「The Italian Job」とGoogle翻訳にかけると「いいかげんな仕事内容」と出る(時期があった。今は無理そう)。
実際この題名は結構皮肉が込められているらしくて、映画内でのイタリア警察のポンコツぶりを差しているらしいのだが、当のイタリア人たちはそれと知りながら映画の撮影に全面協力し、街中で車をガンガン走らせてくれたっていうんだから実に心が広い。
とは言うものの、映画を見ると実際にテキトーなのはイタリア人たちではなく、泥棒集団のイギリス勢の方。とにかく計画がテキトー。メンバーも頼りないことこの上ない。
ブリカスが他国の事を「仕事が雑、テキトー(笑)」と揶揄っといて、「オメーが言うな」という映画を当のブリカスが作るという皮肉の二重構成。セルフ・ブーメラン映画。
これならイタリア人たちも「しょーがねーな、まいっか」とオオラカになれるというもの。
実際、次々と出てくるイギリス人は皆おバカばかり。
コンピューターの専門家のサイモン・ピーチ教授は自分もまあまあデブだけど、女の好みも徹底した「超デブ専」だし、
金塊を運ぶミニを運転するドライバー達は、「後ろに乗ると酔うヤツ」「後ろに乗ると頭が痛くなるヤツ」「後ろに乗るとぜんそくが出るヤツ」の3人だし (運転は前でするんだから「その情報いる?」というオトボケぶり)、
最後の最後に長距離バスを運転する黒人ドライバーなんて、「うひゃひゃうひゃひゃ」とバックミラーに映っている顔がずっと笑ってるの。彼は絶対にキメてると思う。
それに刑務所にいる超大物ブリッジャーは王侯貴族のように優雅な刑務所ライフを送っていて、彼に関してはこの刑務所、どうやら出入りは自由自在っぽいの。
おまけに作戦が成功したときなんて、看守たちも一緒になってブリッジャーをお出迎え。食器を鳴らして「ブリッジャー!ブリッジャー!」と名前を連呼し、彼の偉業をたたえるありさま。この刑務所すごく楽しそう。
でも私がこの映画で一番好きなのは、チャーリーとローラのソウルメイトぶり。
映画が始まるとまず、チャーリー役のマイケル・ケインがいつものように飄々とスマートに登場。刑務所から出所するやいなやスーツを新調して、ビシッと決まって格好いい。
刑務所から出所してきたチャーリーを迎えに来た恋人のローラは、泥棒の恋人らしく、いそいそとパキスタン大使館から盗んだ車で迎えに来てるの。このローナがいい女で、「出所祝いよ~」なんて言って、チャーリーのために大勢の娼婦を待機させたりしているくせに、チャーリーが女を連れ込んでいたらヤキモチ焼いて怒ったりして可愛いし。
チャーリーは女好きっぽい演出もあるけれど、このローナを大事にしている風もあって、憎めないキャラ設定。
そして一世一代の作戦がいよいよ開始されると、チャーリーはローラを心配して国外へ出しておこうと、空港に送りに行ったりする優しいとこも見せたりして。
「愛してるわ!」と叫ぶローラに「いいから行けって」と、腕を振り回して「やめろよ」って照れてる感じもかわいい。こういうキャラ設定がうまくて、この二人、私には理想のカップルに見える。
ついでに言えば、二人が喧嘩する時の部屋がサブカル全開なのもいい。
そして流れる主題歌『自己防衛の社会』がまた楽しい。
オープニング・テーマも渋くて雰囲気出てたし、有名なミニクーパーを駆使したカー・チェイスも冗談たっぷりで見もの。
最初から最後まで、終始「楽しませよう、楽しませよう」という制作陣の意気込みが伝わってくる。
言ってみればイタリア版『ルパン三世』。ストーリーうんぬんというよりも、緩いディテールで楽しませてくれる、軽いタッチの洒落た傑作なのだ。
主題歌『The Self Preservation Society』
