ぱっとみ映画感想ブログ

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バンド・ワゴン(1953)

 

 

 

 

 

映画『バンド・ワゴン』のデータ

題名 バンド・ワゴン(The Band Wagon)
監督 ヴィンセント・ミネリ
出演 フレッド・アステア、シド・チャリシー、ジャック・ブキャナン
上映時間 112分
制作年 1953年
制作会社 MGM
制作国 アメリカ

 

 

映画『バンド・ワゴン』のあらすじ

かつては大スターだったミュージカル・スターのトニー・ハンターは、今では人々に忘れられつつあった。久しぶりのニューヨークもすっかり変わり、時の流れを感じさせる。

昔からの友人である劇作家夫婦のレスターとリリーが、トニーの為に新作を書いてくれる。演出するのは今勢いのある演出家ジェフリー・ゴルドバ、そして相手役は今急上昇中のバレエ界のプリマドンナ、ガブリエルに依頼するつもりだ。

トニーはバレエ・ダンサーとの競演には気乗りしないし、演出のゴルドバも元々シェークスピアなど重めの作品が多く、自分とは合わないのではないかと思っている。

実際ゴルドバはレスターとリリーからプロットを聞いた途端、「これはファウストだ!現代のファウストだ!」と一人で勝手に暴走して物語を改変しまくり、バレエ・ダンサーのガブリエルとも馬が合わない。

数々の問題を抱えながらも、強引なゴルドバの手腕でなんとか初日に漕ぎつけるが、舞台は失敗してしまう。そこでトニーが中心となり、出し物を変更して再演すると舞台は大成功。

それでも気が晴れないトニーだったが、ガブリエルとの愛が深まっていたことを知り、今後も舞台を継続することとなって大団円。

 

 

映画『バンド・ワゴン』の感想

スーパースター、フレッド・アステアの有名作にして名作と誉れ高い作品。でも私はぜんぜん面白くなかった。

 

もちろんアステアの映画はそもそも ”面白い” という類の映画ではないのは分かっている。分かっているけど、アステアは大して踊らないし、少々踊るとしてもタップを踏まない。いや、踏んでたのかもしれないが印象に残っていないから、踏んでないのと一緒。これは致命的。全然アステアの良さを出せていない。

アステアの映画は彼のエレガントなダンスがあってこそ。ダンスがなければただの実直で退屈なオッサンだ。

 

たぶん、ダンスシーンの多くが ”劇中劇の中のダンス” で、メインストーリーに沿ったダンスではないのが影響していると思う。なんだかパッチワークみたいにダンスシーンの断片が並んでいる感じで、なんだか「ひとりザッツ・エンターテインメントみたい」と思った。

すでに人気のピークを過ぎたアステアが、やはり人気のピークを過ぎたトニーを演じるという皮肉な構成で、当時のファンは寂しい気持ちになっただろうと思う。

 

だけど、舞台演出家ゴルドバ役のジャック・ブキャナンが気を吐いていた。

ゴルドバは思い込みが激しくて人の話を全く聞かない。でも優秀ではあるもんだから自信満々に暴走する。レスターとリリーが作った話をちょっと聞いただけで「ファウストだ!」と思い込んで、違うって言ってるのにそのまま突っ走り、勝手に脚色してタニマチの前で力演してた。このシーンは笑えた。

あとは「ファウスト登場!」の時の演出である硫黄を焚くシーンで、ゴルドバが「ババーーーン!」って大きな芝居をしているのに、火薬が「ぽん」くらいだったのも笑えた。

・・・そのくらいかなあ、良かったのは。

 

 

バンド・ワゴン(字幕版)

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