- 映画『ミステリー・ストリート(1950)』のデータ
- 映画『ミステリー・ストリート(1950)』のあらすじ
- 映画『ミステリー・ストリート(1950)』の予告編
- 映画『ミステリー・ストリート(1950)』の感想
映画『ミステリー・ストリート(1950)』のデータ
題名 ミステリー・ストリート(Mystery Street)
監督 ジョン・スタージェス
出演 リカルド・モンタルバン、ブルース・ベネット、サリー・フォレスト、エルサ・ランチェスター
上映時間 93分
制作年 1950年
制作 MGM
制作国 アメリカ
映画『ミステリー・ストリート(1950)』のあらすじ
水商売の若い女が殺されて、モンタルバン演ずるモラレス刑事が捜査に乗り出す。モラレスは直前に一緒にいた男シャンウェイを疑い起訴に持ち込むが、実は彼は無実だった。映画はハーバード大の法医学者マカドゥーの助言を受けたモラレスが誤りに気付き、真犯人を上げるまでを描く。
映画『ミステリー・ストリート(1950)』の予告編
映画『ミステリー・ストリート(1950)』の感想
リカルド・モンタルバン主演。モンタルバンの映画は三本くらい見てるけど、今回が一番自然で格好良かった。
作品に派手さはないけど後半に行くに従ってテンポが良くなって、グイグイ面白くなっていくなかなかの佳作。
観客は最初からシャンウェイが犯人ではないことを知っているが、真犯人が誰なのかは分からない。でも割と早めに誰が犯人なのか分かる仕様になっている。
つまり「犯人は誰だ!」的な謎解きを楽しむのではなく、モンタルバン演ずる刑事モラレスが誤りに気が付き、真相に近づいていく過程を楽しむ、といった趣向。この脚本、アカデミー脚本賞にノミネートされたらしい。
殺された女は白骨化して発見されたため法医学者の出番となるのだけれど、法医学ドラマって、今だとひとつのジャンルを形成しているくらい定番だけれど、おそらくそのはしりの作品と言っていいと思う。
情熱的で猪突猛進なモラレスに対して、ハーバード大のインテリ法医学者マカドゥーは感情に支配されず、冷静で論理的、モラレスとは対照的なキャラ設定。
足で捜査する古いタイプのモラレスは、状況証拠だけでシャンウェイを犯人だと思い込み、即逮捕し立件してしまうけれど、マカドゥーは現代的な科学的手法で物的証拠をひとつひとつ積み上げ、真相を明らかにしていく。
この新旧ふたつの捜査方法が合体して、共に犯人を明らかにしていくのだ。体も大事だけど、頭も大事。
でも私の目には、本職のモラレスではなく、ただの学者に過ぎないマカドゥーの方がよっぽど警察っぽい活躍をしていた。
この映画は比較的地味な作品だと思うけど、その中で光っていたのが、殺された女が住んでいた下宿の大家さん(女)。
これがかなりの曲者で個性的。今作の役の中で一番面白い役柄だったんじゃないかな。誰よりも早く真犯人を突き止め、単身で乗り込みそいつから金を強請っていく。
彼女のせいで捜査が攪乱されちゃうわけだから迷惑おばさんなのだけど、本人はただひたすらお金が欲しいだけ。お金お金お金。
最初は、殺された女が溜め込んでいた家賃を回収したいだけだったけど、そのうちもっと金になると気づいて真犯人をかなりの大金で強請ろうとする。
頭は良いし行動力があるし、ほんと強欲なの。彼女がいなければ地味で退屈な作品になっていたんじゃないかな?
演じたエルサ・ランチェスターも楽しそうに生き生き演じていたように見えた。
どうやら映画はコケたみたいだけど、ジョン・スタージェス監督の初期の作品でもあるし、見る価値は十分あると思う。