ぱっとみ映画感想ブログ

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ハロルドとモード/少年は虹を渡る(1971)

 

 

 

 

 

映画『ハロルドとモード(1971)』のデータ

題名 ハロルドとモード/少年は虹を渡る(Harold and Maude)
監督 ハル・アシュビー
出演 ルース・ゴードン、バッド・コート、ビビアン・ピックレス
上映時間 92分
制作年 1971年
制作国 アメリカ

 

 

映画『ハロルドとモード(1971)』のあらすじ

自殺が趣味の19歳の少年ハロルドは、大金持ちで独善的で無関心で独裁者の母親との関係を独特にこじらせて、あの手この手で毎日自殺に励んでいる。

そんなある日、知らない人の葬式で、だいぶ変わった79歳の老婆モードと出会ったことで、ハロルドの日常が激変する。

 

 

映画『ハロルドとモード(1971)』の予告編

www.youtube.com

 

 

映画『ハロルドとモード(1971)』の感想

今やカルト映画とは言えないほどの名声を勝ち得ている作品で、この映画を好きだと挙げる有名人は数多い。

でも私は嫌い。

 

一度見たら忘れられない映画だし、ユーモアもあるし、テーマも深遠だし、映像も洒落てるし、登場人物のキャラも立ってるし、良いところは沢山あるけれど、私は嫌い。

バッド・コートが嫌いなわけじゃない。彼のもう一つの代表作 『バード★シット(1970)』 は好きな映画だし。

 

バッド・コートは見た感じが変わっていて、背が高くてひょろっとしてて、手足が長くて、大人なのか子供なのか分かりづらい顔が乗っかっている。ハンサムってわけでも、可愛いっていわけでもない風変わりな容貌。

そして役柄も変わっていて、『バード★シット』 では空を飛びたい男の子の役、今回は自殺が趣味の少年役で、やっぱりバッド・コートは一風変わっている。

 

今回の『ハロルドとモード』では数々の自殺を見せてくれる。でも自殺未遂をするんじゃなくて、自殺ごっこをしているだけの、こっちを向いてもらいたい “かまってちゃん”。

大人にかまってほしいけど、彼らのようになりたいわけではない、というジレンマが見え隠れ。お手本になる大人がいなくて、自分の未来に絶望している。

 

その大人の代表が、ママと戦争大好きビクター叔父さん。

ママはやり手で有能そうだし、美人だし、自分磨きに余念がなくて、自分が欲しい物はキチンと手に入れていくタイプ。

それでハロルドのことも微に入り細を穿つように干渉してきて、結婚相手から乗る車まで、全部ママがおぜん立て。ハロルドのよき理解者を自負しているけれど、その実なにひとつ分かってはいない。

でも、上流階級でお金持ちということは、社会では有能な人間として認識されるわけだから、ママが自分のあり方に疑問を持つとは思えない。自分の事は自分で決めて、しっかり実行していくタイプの人間からすると、自己主張といえば自殺未遂ごっこしかない息子は、いかに息子とはいえ全然理解できないのではないかな。

「この子は一体、どうしちゃったのかしら。何考えてるのかしら。なんか全然わかんないわ、もうお手上げよ」って感じなんだろうと思う。

完全な毒親で、息子のハロルドを追い詰めてしまっているとはいえ、彼女は彼女なりにちゃんとハロルドの事好きそうに見える。私はこのママ、嫌いじゃない。

 

でもハロルドの叔父さんビクターは、ガチでイカレテル。

米軍の将校で、戦争と軍隊が大好き。アメリカを愛し、アメリカの正義を信じ、壁に飾られたニクソン大統領の写真と、アメリカの英雄ネイサン・ヘイルの肖像をバックに、「戦闘、予期せぬ経験、指導、すばらしい人生だよ。じかに戦争が見られる。」と熱く語るその目がもうイっちゃってる。

監督はこのビクター叔父さんを相当馬鹿にしていると思うけど、実際映画内でもハロルドとモードに猛烈に小馬鹿にされていた。

 

 

そこへ、ハロルドが今まで見たことがないような、変わった大人が現れる。

それが問題の婆さん、モード。

一見自由に生きてる芸術家肌の婆さんだけど、自由のために命がけで戦った経験を持っているようだし、さらに「皇帝」との晩餐会の思い出を語るなど、劇的な過去を持っている様子。そして途中で一瞬ちらりと映る「腕に数字の入れ墨」。ホロコースト体験者だったらしい。

彼女は、社会のルールに縛られない、自由で自然体の変わり者として出てきて、でも本当は彼女が変わり者なんじゃない、本来これが一番人間らしい真っ当な生き方なんだよ、という役柄。

しゃらくさい。私この婆さん大嫌い。不愉快千番。見ていて不快になる。

 

だいたい登場シーンからしてキライ。

ハロルドが行った他人の葬儀にモードも来ていて、遠くの木の下で葬儀の様子を眺めているんだけど、木の下に座って、オレンジか何かを口にくわえて、鼻をすすって、手で鼻をゴシゴシして、本当にあざといと思った。ハックルベリー・フィンかよ。

そしてハロルドの気を引こうして、「シッ!」というか「ツッ!」というか、歯の隙間から息を強く噴き出して変な音を立てるんだけど、もう生理的に嫌。するか??普通。下品すぎる。

そして教会でハロルドに話しかけるとき、ウインクしたり科(しな)作ったりして、媚が強いというか、来週80歳になろうという婆さんなのに色気出してくるのが心底嫌。

なまめかしいというか、女を見せてくるのが嫌。生理的に嫌。婆さんなのにギラギラとしてて、こうして思い出してもゾッとする。おぞましい。

 

するかね、普通。80歳で19歳のハロルドとセックス。

この映画からそういったエロというか、セクシャリティを全部抜かして、「変わった婆さんとのプラトニックな人間関係」だったらずっと良かったのに。

そしたらこの映画を心から好きになれて、ワンチャン「人生の20本」くらいには入れてたかもしれないのになあ。