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魔人ドラキュラ(1931)

 

 

 

 

 

映画『魔人ドラキュラ(1931)』のデータ

題名 魔人ドラキュラ(Dracula)
監督 トッド・ブラウニング
原作 ブラム・ストーカー「吸血鬼ドラキュラ」(1987)
出演 ベラ・ルゴシ、ヘレン・チャンドラー、ドワイト・フライ、エドワード・ヴァン・スローン
上映時間 75分
制作年 1931年
制作国 アメリカ

 

 

映画『魔人ドラキュラ(1931)』のあらすじ

イギリスの弁護士レンフィールドは土地にまつわる契約の為、トランシルヴァニアのドラキュラ伯爵の城を訪ねる。途中、城のふもとの村人たちに止められるが、レンフィールドは意に介さず伯爵城へ向かう。

城ではドラキュラ伯爵に丁重にもてなされるが、吸血鬼であるドラキュラ伯爵によって血を吸われ奴隷同然となり、クモやハエを捕まえて食べる下等吸血鬼となる。

レンフィールドの手引きでイギリスへ渡ったドラキュラ伯爵。船がイギリスへ到着した時、乗組員はみな死亡しており、唯一の生存者であったレンフィールドは正気が疑われ、セワード精神病院へ入れられて病室でクモやハエを食べていた。

やがてドラキュラ伯爵は社交界にデビュー。セワード博士の娘ミナの友人ルーシーを篭絡し、血を吸って死に至らしめる。

一方、セワード博士の恩師ヴァン・ヘルシング博士は、ルーシーの体から大量の血が失われていることに気が付く。さらにレンフィールドが吸血鬼化していることも見抜く。

一方その頃、ドラキュラ伯爵はセワード博士の娘ミナに狙いを定めていた。血を吸われたミナは悪夢にうなされるようになる。

ヘルシング博士は、ドラキュラ伯爵が鏡に映らないことに気が付き、彼が吸血鬼であることを見抜く。ヘルシングはミナを守るため、トリカブトの花でミナの寝室を埋め尽くすが、すでに吸血鬼化が進むミナはそれを拒否。しかもミナの婚約者ハーカーの協力も得られない。

ヘルシングはドラキュラと対決するが、結局ミナはドラキュラ伯爵にさらわれてしまう。ヘルシングとハーカーは、精神病院から抜け出したレンフィールドを尾行しドラキュラ伯爵の元へたどり着く。レンフィールドが裏切ったと思ったドラキュラ伯爵はレンフィールドを殺害する。

夜明けが迫り、ドラキュラは地下の棺に逃げ込むが、ヘルシングらに杭を打ち込まれて滅び、ハーカーはミナを取り戻すことに成功する。

 

 

映画『魔人ドラキュラ(1931)』の予告編

www.youtube.com

 

 

映画『魔人ドラキュラ(1931)』の感想

ムルナウによる映画化作品『ノスフェラトゥ(1922)』を見た。原作も読んだ。それでは超有名なベラ・ルゴシ版を、という流れでの視聴。

監督はこの後すぐに『フリークス(1932)』を制作するトッド・ブラウニング。

 

この映画は吸血鬼ドラキュラのイメージを決定づけた作品として有名で、私たちが思い浮かべる吸血鬼のイメージの、オールバックの髪形、タキシード、襟の立ったマントなどの貴族的な雰囲気は、本作でドラキュラを演じたベラ・ルゴシの設定によるもの。

原作では、冒頭にドラキュラの見た目が書かれていたけれど、決してダンディーとは言えない設定だったし、ムルナウの『ノスフェラトゥ』では ”つるっぱげ” だった。

それをブロードウェイの舞台版で上記のドラキュラ像が用いられ、それを演じたベラ・ルゴシが映画でもドラキュラを演じることとなり、映画は大ヒット。私たちのドラキュラ像が固まったのだった。

 

そのベラ・ルゴシの演技と言えば、元々舞台俳優だったこともあってか、とにかく大味でオオゲサで知られている。

でも今作ではあんまり気にならなかったし、それよりも脚色のうまさが光っていたように思う。

もっと意訳が激しい作品なのかと思い込んでいたけれど、かなり原作に近い作りになっていて意外だった。原作はかなり長い作品なのに、たった75分でポイントをきれいにまとめていたと思う。

 

もちろん設定の変更などは結構されていた。

原作では、ミナの友人ルーシーがドラキュラに狙われて血を吸われ、死に至る過程がかなり長い。それがかなり簡潔にまとめてあった。

ルーシーは原作だとモテモテで、三人の男性に言い寄られている設定になっているけれど、そこをバッサリカット。言い寄る男性の一人だった医者のセワードの ”娘” ということにして、かなりシンプルな関係性に持って行っていた。

これでかなりの尺をカットできている。

 

それから、原作だと主役はミナの婚約者ジョナサン・ハーカーなのに、この映画版では思いっきり脇役に追いやられていた。その代わりに原作では虫を食べている姿の印象が強すぎて、イマイチ生かしきれていなかったレンフィールドが主役級に昇格している。

作品冒頭、原作ではドラキュラ伯爵を訪ねてトランシルヴァニアに向かうのはハーカーなのに、映画ではその任をレンフィールドが勤め、城でドラキュラに血を吸われて操られ、正気を疑われて精神病院へはいるという流れになっていた。

 

これはスッキリ。原作ではどうも何のために登場してくるのか分かりにくかったレンフィールドを生かしつつ、しかも物語的には矛盾もない作りになっていて感心した。これを見てしまうと、トランシルヴァニアのドラキュラ伯爵邸で ”あれほどの” 恐怖体験をしたハーカーが、精神を病まないのがおかしいんじゃないかと思えてくるほど、すっきりした脚色になっていたと思う。

 

現代の目で見れば、ヘルシングとドラキュラの対決なんて、アクション性が皆無なのでやや退屈ではあるけれど、古典だし、脚色が良かったので結構楽しめた。

 

どうでもいいけれど、ひとつ気になったのは、ドラキュラから守るためにミナの周りに敷き詰める花が、原作ではニンニクの花だったのに、映画ではトリカブトになっていた。

その理由は分からない。

 

 

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