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アラビアン・ナイト(1942)

 

 

 

 

 

映画『アラビアン・ナイト(1942)』のデータ

題名 アラビアン・ナイト(Arabian Nights)
監督 ジョン・ローリンズ
出演 ジョン・ホール、マリア・モンテス、サブー
上映時間 86分
制作年 1942年
制作国 アメリカ

 

 

映画『アラビアン・ナイト(1942)』のあらすじ

古代ペルシャの王宮では、ハーレムの美女たちがアラビアン・ナイトのお勉強中。そこで先生が語るハルーン・アル・ラシッドの物語に場面は移っていく。

話の中心は国王ハルーン・アル・ラシッドとその弟カマル、宰相ナダル、そして踊り子のシェヘラザードの4人。

王位に就いたハルーン・アル・ラシッドは弟カマルの処刑中。カマルは美貌の踊り子シェヘラザードに夢中で、ハルーンから王位を奪いシェヘラザードを妃に迎えようという野望を持っていた。

しかしハルーンが処刑にためらっている間に、カマル派の家来が押し寄せカマルを奪還、逆にハルーンが命を狙われるはめになる。

傷を負ったハルーンはサーカスの一団に助けられ、そこで噂のシェヘラザードと出会いハルーンも恋に落ちる。軽業師アルの助言もあり、ハルーンは身分を隠し商人としてサーカスの一段と行動を共にするようになる。そしてカマルから王位を奪い返し、シェヘラザードも手に入れるつもりだ。

しかしその頃、王位に就いたカマルは姿を消したシェヘラザードの行方を探していた。早速居場所を突き止めるが、王位を狙う宰相ナダルの画策もあり、サーカスの一団はみな奴隷商人に売られてしまう。

 

 

映画『アラビアン・ナイト(1942)』の予告編

www.youtube.com

 

 

映画『アラビアン・ナイト(1942)』の感想

千夜一夜物語の名を借りた剣戟映画にして恋愛冒険活劇にして、当時の大ヒット作。

一人の女をふたりの男が奪い合い、野心満々の腹心が陰謀をたくらむという、いたって分かりやすいお話。

庶民ではなく王様たちが女を奪い合うわけだから、殺されそうになるわ、奴隷にされそうになるわ、高値で落札されそうになるわ、馬で追いかけられるわ、オアシスで踊るわ、実に華やか。

 

そして良く知られた千夜一夜物語とは内容がまーーーったく違うところがミソ。

千夜一夜物語の二大ヒーロー、アラジンとシンドバッドなんて、どういうわけかやけに落ちぶれてしまっていたし、シェヘラザードの役回りも全然違う。

 

アラジンとシンドバッドは物凄く有名なヒーローなのに、サーカスの曲芸師に成り下がっていた。

アラジンは魔法のランプを失っていて、似たようなランプを見てはこすってみたりなんかして、「それは違うぞ!」なんて突っ込まれていたし、

シンドバッドの方は、以前上げた『船乗りシンドバッドの冒険(1947)』のシンドバッドも猛烈にお喋りな男だったけど、今回のシンドバッドもサーカスの仲間に昔の武勇伝を語ろうとするのだけれど、ちゃんと話を聞いてもらえないという、哀しい存在に。

 

なにがあった。一体なにがあってこうも落ちぶれてしまったのかしら。

ちょっと気になる設定だった。

 

 

で、シェヘラザードは二人の王族に奪い合われる華やかな役。

でも、本来シェヘラザードといえば、次々と処女を妻にしてはやることやって、すぐに斬殺するという、 ”女性不振もここに極まれり” な王様に嫁いでしまう、良いとこのお嬢さんなはず。

そしてその殺される日を先延ばしにするため、自分で創作した物語を夜な夜な王様に語り聞かせて、ついにはそれが「千夜一夜」に及びとうとう王様を改心させたという、とても賢い女性の代表。

なのにこの映画のシェヘラザードは、「踊り子で美人」というだけで特に賢い感じでもない。それどころか傲慢で強欲で下品という、相当イヤな女だった。サーカスの踊り子の分際で「私はこんなところにいる女じゃないわ! 王妃になるべくして生まれた女なのよ!」って言って、団長に物を投げつけようとしていた。

めちゃくちゃ気が強いの。果てしない欲望がさく裂。

私はこのシェヘラザードを演じたマリア・モンテスが美人な気が全くしなかった。

いや美人なんだけど、鼻息ばかりが荒くてガツガツギラギラして品が無くて庶民的で、美人だとしても「二流の美人」なのよ。モーリン・オハラだったらもっと良かっただろうなあ。

 

そんなシェヘラザードを奪い合う一人目の男はハルーン・アル・ラシッド。実在のカリフで、全盛期のアッバース朝第5カリフとして君臨したお方で、現在でも「偉大なカリフ」と言われているらしい(在位は786年~809年)。演じたのは当時の二枚目スター、ジョン・ホール。彼は髭があった方がずっと男前。


女を奪い合う二人目の男はハルーンの兄カマール。実在かどうかは知らない。大きな体格で野心家の顔。傲慢そう。でも甘さの目立つハルーンと比べて、カマールの方が威厳があった。

そして女ではなく、カリフの地位を狙うのが野心家ナダル。いかにも冷静そうなクール&ドライな目つきで、シェヘラザードの美しさになんか目もくれない。

私この顔好きだな。

 

 

 

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